- #1
- #2
サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
岡崎慎司に激怒?「ふざけんな! 香川真司の名前を出すんじゃねえ」絶対にサボらなかった男へ“たった一度”のお説教「第二の岡崎を育成して」
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph bypicture alliance/AFLO
posted2024/04/10 11:02
大きな飛躍を遂げた2014-15シーズン、ブンデスリーガ日本人最多得点を更新した岡崎に師匠から愛のムチが届いた
マインツ時代の2014年4月、ニュルンベルク戦でシーズン14点目を決めた後のことだ。このとき、岡崎は香川真司が持つブンデスリーガ日本人選手シーズン最多得点記録を更新したばかりだった。いつものように電話で話していると、岡崎が冗談交じりにこう言った。
「最多記録を抜いたんで、もういいっしょ」
現状に満足することなく、前へ、前へ。そうやって岡崎が成長してきたことを、杉本は知っている。だから、声のボリュームを上げて言った。
「お前、ふざけんな。言い訳がましく、香川真司の名前を出すんじゃねえよ。開幕前に『15点取る』って言ったんだから、絶対もう1点取れ!」
打てば響く男だ。シーズン最終節、岡崎は見事に15点目を決めた。最終ラインの背後に走り込んでスルーパスを受け取ると、深い切り返しで相手DFを抜き去り、左足で突き刺した。「泥臭い」とは程遠い、「洗練された」一撃だった。
選手寿命が延びることは、実は不幸せ?
2005年に出会った「へたくそ」な高卒ルーキーも、37歳になった。今年2月28日、杉本は自身のX(旧ツイッター)で、こうポストした。
『自身で幕引きが出来る、そして惜しまれながら辞めるということは幸せなこと。それはある種、良い評価を社会からされていることの証』
2日前に現役引退を表明した岡崎へのメッセージだ。実はこの数カ月前から、杉本は引退の意向を聞いていた。シント=トロイデンでのプレーぶりを見ても、正直、まだ現役を続けられると感じている。できればキャリアの最後はエスパルスでプレーしてほしいと、密かに願っていた。ただ、こうも思う。
「岡崎に限らず、ここ最近、選手寿命は伸びています。これって、プレーヤーにとっては幸せなことですけど、セカンドキャリアへの移行を考えると、実は不幸せなんじゃないかとも思うんです。岡崎はこの1、2年で、将来は指導者をやりたいという思いが、しっかり定まってきた。あいつ、引退について相談してきたときに、ぽろっと言ったんですよ。『もうこれ以上、上手くならない感じがする』って。ならばここで辞めて、指導者への道をスタートするのも自然な流れでいいのかなって、思いますね」