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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
岡崎慎司に激怒?「ふざけんな! 香川真司の名前を出すんじゃねえ」絶対にサボらなかった男へ“たった一度”のお説教「第二の岡崎を育成して」
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph bypicture alliance/AFLO
posted2024/04/10 11:02
大きな飛躍を遂げた2014-15シーズン、ブンデスリーガ日本人最多得点を更新した岡崎に師匠から愛のムチが届いた
サッカーが上手くなりたい、足が速くなりたい。そう心から願い続けて、みんなに引退を惜しまれる名ストライカーに成長した。今度は指導者として、選手たちの願いを叶えてほしいと、杉本は思っている。
「僕が指導してきた中で、最も走りの才能がなかった選手の一人が岡崎です。そんな男がプレミアリーグで優勝して、3回もワールドカップに出た。足が速くなって、フィジカルが強くなって、テクニックまで身につけた経験があるからこそ、『岡崎監督のもとでプレーすれば上手くなる』と言われる指導者になってほしい。戦術とスキルとフィジカルを分断するんじゃなくて、この3つをワンセットで教えて、個々の能力を引き上げられる。そんな指導者になってほしいんですよね」
先日、杉本は岡崎から電話で相談を受けた。シント=トロイデンに、杉本による指導を受けたいと希望している日本人選手がいる。その選手に対して、事前に岡崎がフィジカルトレーニングを教えてみたい、という内容だった。杉本は即答した。
「いいと思うよ。お前なりにトレーニングの意図と狙いをもう1回解釈して、それを言葉で説明できるようになれば、それは指導者としての練習にもなる。言語化できるってことは、大事だからね」
彼の指導によって、きっと「第二の岡崎慎司」が生まれると、杉本は信じている。ただし、それは先の話。今季のベルギーリーグと岡崎の現役生活は、まだ終わっていない。だから、杉本は電話の最後にこう付け加えることを忘れなかった。
「お前はまだ選手なんだから、『お疲れさま』は絶対言わねえぜ」
(前編から続く)