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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「岡ちゃん、本当にオリンピック行けるぞ」岡崎慎司が“クビ候補”から一気に日本代表に駆け上がった日「あの衝撃は今も忘れられない」
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byJMPA
posted2024/04/10 11:01
北京五輪に出場した岡崎慎司。新人の頃から指導する杉本トレーナーは、当時は潜在能力を信じきれていなかったと胸の内を明かす
2008年冬、覚醒の時は突然訪れた。チーム始動前恒例となった浜松での自主トレでのことだ。岡崎の走りを見て、杉本は目を見開いた。
「あの衝撃は、今でも忘れられないですね。突然、別人のように動きが良くなった。それまで岡崎はとにかく手と足を速く動かそうとしていた。でも、このときは体の力みが取れて、上半身と下半身がスムーズに連動してリズムが抜群に良くなって。未来が急にぱっと開けたような感じでした」
思わず、杉本は叫んだ。
「岡ちゃん! 今年、いけるよ。ブレイクするよ。本当にオリンピック、行けるかもしれないぞ」
杉本の予感は的中した。
2008年シーズンが開幕すると、途中出場ながらコンスタントにゴールを積み重ね、2カ月が経った頃には長谷川健太監督の信頼を勝ち取り、スタメンに定着。北京五輪出場の目標を現実にした。さらに五輪後の10月には、岡田武史監督のお眼鏡にかない、A代表デビューを果たした。
(後編へ続く)