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「オドーア電撃退団」は巨人にとって“激震”ではない? むしろ“吉兆”ともいえる2つの理由…阿部慎之助監督「残念ですね。けど、仕方ないかなと」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2024/03/28 18:48
メジャー通算178本塁打の実績で巨人に入団したオドーアだったが、開幕3日前に退団することになった
「残念っちゃ、残念ですね。まあ……けど、本人がそう決断したそうなので、仕方ないかなと思います」
悔いも怒りもない。むしろ胸のつかえが下りたような指揮官のコメントだった。
普通ならこんな開幕前のドタバタ劇は、チームにとってマイナスに働くものだ。しかしいまの巨人にとって、この退団劇は2つの意味でプラスの方向に働くはずである。激震が走るどころか、むしろこれは吉兆とすら言えるものかもしれない。
プラス材料1:チームの結束
プラス材料のその1は、阿部監督の下でチームの結束が強固になる機会となったことだ。
昨オフに原辰徳前監督からバトンを受けた阿部監督は、就任直後から「競争」という言葉を何度も言い続けてきた。同時に選手に配った「監督指針」では真っ先に「チームのために自己犠牲できる選手を起用する」と明記した。言葉通りにキャンプからオープン戦を通じて、結果を残せなかった選手は、容赦なくファームで再調整を命じてきた。つい先日も秋広優人内野手の開幕二軍を明言。理由として「ここからは結果を見ていくよ、と言った中で結果を出せなかったからね。それだけですよ」と語っている。
そしてオドーアだ。オープン戦で結果を残せていないということなら、オドーアは秋広よりも先に、一番手として挙げられてもおかしくない内容だった。打てないだけではない。3月22日と24日の楽天戦では2度も牽制に引っかかってアウトになる凡プレーもあった。
メジャーでそれなりに実績のあるオドーアと秋広を同列で語ることはできないという考えもあるかもしれない。また、結果は出ていないものの新外国人選手なのだから、とりあえずは我慢して一軍に残すという選択肢もあったはずだ。
監督の言葉の絶対的な重さ
しかし阿部監督の決断は違った。