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「オドーア電撃退団」は巨人にとって“激震”ではない? むしろ“吉兆”ともいえる2つの理由…阿部慎之助監督「残念ですね。けど、仕方ないかなと」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2024/03/28 18:48
メジャー通算178本塁打の実績で巨人に入団したオドーアだったが、開幕3日前に退団することになった
外国人選手といえども、例外とせずに求めてきた方針通りのプレーができなければ一軍に置かない。結果として開幕直前の退団という異例の事態を招いたが、この決断で選手たちは監督の言葉の絶対的な重さを感じたはずだ。それは逆に結果を残しさえすれば、必ず自分にもチャンスがくる。シーズンを前に改めて、そのことがチーム内に徹底された。今年の巨人のポジション争いは例外のないガチンコの競争となる。そのことを選手たちが改めて自覚し、チームに1本の芯を通すきっかけになった。
それがオドーア退団騒動のプラス材料その1である。
プラス材料2:若手起用に拍車
そしてプラス材料の2つ目は、若手の起用に拍車がかかることで戦力面でのアップにつながるということだ。
もしオドーアを一軍に残せば、おそらく最低でも開幕から1、2カードは「7番・右翼」で使うことになっていたはずである。
ただ今季の巨人の外野のポジション争いは、激しく、若手の台頭が著しい。オドーアという大きな石が無くなったことで、若手選手を使うチャンスが開幕から増えるのは確実だ。
3月29日の阪神との開幕戦。左翼に丸佳浩外野手、センターにはドラフト3位ルーキーの佐々木俊輔外野手が先発するのはほぼ決まり。オドーアの抜けた右翼は阪神の開幕先発・青柳晃洋投手を考えると、オープン戦終盤に好調さをアピールしてきた左の梶谷隆幸外野手が入る可能性が高そうだ。
ただ、外野の控えにはキャンプからオープン戦と復活をアピール、オープン戦で打率3割2分をマークした松原聖弥外野手がいる。また貴重な右の外野手として3月12日のソフトバンク戦では1号2ランを放つなど実戦力を見せた萩尾匡也外野手もいる。そして腰痛でキャンプはリハビリ組スタート、阿部監督に「開幕一軍は考えていない」と言われながら、ギリギリで這い上がってきた浅野翔吾外野手も控える。
浅野のスタメン抜擢も…
「(一軍に)入れると思っていなかったというか、呼んでもらえると思っていなかった」
浅野は言う。