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「ケイセイ・トミナガを覚えた方がいい」富永啓生はなぜ米国人を夢中にさせる? 熱狂マーチマッドネスで注目度急上昇「彼は見ていて楽しい」 

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宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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posted2024/03/23 06:00

「ケイセイ・トミナガを覚えた方がいい」富永啓生はなぜ米国人を夢中にさせる? 熱狂マーチマッドネスで注目度急上昇「彼は見ていて楽しい」<Number Web> photograph by Getty Images

注目度の高いNCAAトーナメントへの出場権を得たネブラスカ大・富永啓生(23歳)。ラストシーズンに大舞台にたどり着いた

 富永とガードコンビを組むブライス・ウィリアムズは、シュートの難易度が他の選手とは違うと言う。

「彼が打つシュートにノーマークのシュートはない。たいていの場合、それはフェイドアウェイしながら超高速のリリースで打つんだ。その難しさと、その難しいシュートをどれだけ頻繁に決めるかが魅力なのだと思う」

 それに、今シーズンの富永は、単なる3ポイントシューターではない。相手の密着ディフェンスで3ポイントシュートを抑えられたら、その裏をついて中に入りこみ、ゴール近辺でも相手のタイミングを外してシュートを決める。フェイドアウェイ、フローター、スピンムーブからのシュート、フェイクからのステップインなど、その動きは多彩だ。

 NCAAのコート上では小柄な富永がそんなプレーで自分より大きな選手を翻弄する様子は、確かに見ていて爽快な気分にさせられる。

「夜眠れなくなる」「最も果敢で賢い」

 一方で、富永の人を引き付けるプレーは、対戦相手のコーチにしたら脅威でしかないようだ。ビッグテン・カンファレンスの強敵、イリノイ大のブラッド・アンダーウッドHCは、2月4日の対戦で富永に31得点を取られた後に、「たぶん名前の発音を間違えていると思うけれどトマナンガ? トミネンガ? ──わからないからケイシー(ケイセイ)でいこう。彼はコーチを不安にさせる選手だ。夜眠れなくなる」「あのシュートリリース、どこからでも打ってくるところ。大学バスケットボール界において、最も果敢で賢い選手だ。うちのエリートディフェンダーがマークしている中であれだけ取ってきたのだからね」と脱帽した。

 その後、3月16日にビッグテントーナメント準決勝でネブラスカ大と再戦し、富永を18点に抑えて勝利した後、富永に「もう君と対戦しなくていいと思うとほっとする」と耳打ちした。コーチから相手選手に贈る最大級の賛辞だ。

 “マーチマッドネス”、日本語にすると『3月の狂乱』。一発勝負のトーナメントだからこそ下位シードが上位を食う番狂わせが起きたり、それまで無名に近かった選手がスターとして全米の人気者になったりする。そんな、何が起きても不思議はない、魅惑的な大会が始まった。

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