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「バスケW杯大金星の立役者」22歳の2人は大の仲良し…“天才肌”の富永啓生には“努力家”の河村勇輝が必要？ 恩師が明かす正反対の性格
posted2023/08/29 11:07
バスケットボールW杯のフィンランド戦、大逆転勝利の立役者となった河村勇輝（右）と富永啓生。22歳のふたりのルーツを高校時代の恩師が明かした
text by
青木美帆Miho Awokie
photograph by
FIBA
富永啓生と河村勇輝は仲がいい。ワールドカップ前に数度行われた公開練習では、お互いのシューティングにパスを出し合い、椅子に腰掛けて何やら楽しそうにおしゃべりをしている様子が頻繁に見られた。合宿や遠征では食事や風呂も共にし、朝に弱い富永を河村が部屋まで起こしにきた日もあったという。
アンダー16日本代表、アンダー18日本代表でもチームメイトだった2人は「ずっと一緒にやってきたのでお互いのプレーのタイミングがわかっている」（河村）、「一緒に出ているときは自分のことをずっと見てくれている感じ」（富永）と、コートの上でも抜群のコンビネーションを発揮し、トム・ホーバスヘッドコーチも「あの2人は本当にいいコンビ」と話している。
現在、日本バスケットボール界の未来を担う存在という意味で同じ立場にいる2人だが、それぞれが備える雰囲気は対照的だ。富永はあっけらかんとした物言いの天才肌。河村は思慮深い優等生。現在発売中のNumber1079号（「バスケW杯 日本代表の論点」）で彼らの高校時代の恩師を取材し、当時のバスケットへのアプローチや物事のとらえ方を聞くと、興味深い違いと共通点が見えてきた。
桜丘高校時代の富永を指導した江崎悟（現・山梨学院高校男子バスケ部監督）は、三菱電機女子部のコーチ時代に富永の母・ひとみさんを指導した人物。富永家とは家族ぐるみの付き合いがあり、生まれた頃から富永のことを知っている。
「啓生のシュートタッチの柔らかさと、点を取りに行く意欲。あれはね、本能だよ。犬にボールを転がしたら興奮して追いかけ回すのと一緒。とにかくボールが大好きで、とにかくそれをリングに入れたい。ガキの頃からずっとそう。いっつもボールを持っていないと気が済まない」
富永に「打つな」なんて1回も言ったことがない
ボールを持ったらとにかくシュートが打ちたい。だから『シュートを打て』以外の指示が右から左へ抜けていくし、ディフェンスに気が入らない。江崎は富永のそんな性格をよく理解した上で、苦手なプレーに目をつぶり、彼の持つ特別な本能をさらに研ぎ澄ませる道を選んだ。
