「イチローはオリックスで『結果が出るなら選手の好きなようにやらせよう』と考える仰木彬監督と出会いました。無理やり押し付けるタイプの監督とは合わなかったはずです。一方、工藤は厳しい自己管理を求める広岡達朗監督に育てられ、山崎は野村克也監督との出会いで変わりました。一流選手は能力や努力に加えて、人と出会う力もあると感じています」

東もプロ入りする姿を想像できなかったが

　倉野監督は工藤氏、イチロー氏、山崎氏が球界を代表する選手になると予想していなかった。DeNA・東は高校時代からコントロール抜群だったが、プロ入りする姿を想像できなかった。

愛工大名電時代の東　©JIJI PRESS

「自分の目が正しいとは全然思っていません。中学生や高校生は指導者がイメージしている将来よりも、ずっと大きな可能性を持っています」

　自分の眼力のなさを嘆きながらも、指揮官はうれしそうだった。

　そんな倉野監督は、65歳となった今も白球を追う高校球児のために――最高の設備を用意しようとモチベーションを持って日々を過ごしている。例えば、取材中にこのような言葉を聞いた。

「ドライブラインの高校野球版ができたらおもしろいよね」

＜つづきは第2回＞