野ボール横丁BACK NUMBER
松井秀喜を育てた“名将の父”に本音…星稜監督・山下智将が語る「家族より自分…あまり好きじゃなかった」「僕、長男なんで」《センバツ》
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byJIJI PRESS
posted2024/03/23 11:06
左)松井秀喜を育てた星稜・山下智茂元監督、右)息子で現在チームを率いる山下智将監督
山下 私は行ってないです。私はそういう父があまり好きじゃなかったので。自分のことばっかりみたいな。もうちょっと家族との時間も大事にしてほしかったんです。ジムに行く時間があるなら、みんなでちょっと外食でも行けばいいじゃんって。心のどこかでそう思っていたんです。だから僕は全体練習が終わったら、できるだけ家族と過ごす時間を大切にするようにしています。
全国制覇の試合は父も現地に…
――お父様はとても子煩悩なイメージがあったので、親子でもよく会話とかをしていたんだろうなと思っていたのですが。
山下 現役時代は、まったくそんなことはなかったです。父は寝るのが早かったので、ちょっと遅くまで練習して、寝た頃を見計らって帰っていましたね。当時、父を避けている自分がいました。
――今はもうそんなことはないのですか?
山下 今では普通に話はします。ただ、野球の話題になって、ああした方がいいんじゃないかとか言われるのは嫌なので、多くはしゃべらないですけど。もうさすがに言ってもこないとは思いますけどね。
――とはいえ、明治神宮大会で優勝したときは、お父様もさぞかし喜んでいたんでしょうね。
山下 喜んでたんじゃないかな。初戦は観に来てくれて。決勝の日も来るとか来ないとか言っていて、やっぱり来ないみたいな感じになったので「全国大会の決勝なんて二度とないかもしれないんだから、交通費出すから来てよ」と言って。前日の夜遅く、ようやく来てくれました。
――お父様の家はグラウンド近くにあるんですよね。今も一緒に暮らしているのですか。
山下 僕、長男なんで入らなきゃいけなかったんでしょうけど、それだけは避けたいな、と。なので、グラウンドを挟んで反対側に家を建てました。