――ところで、アジアカップ帯同中にオファーが届いたということでしたが、アジアカップでA代表の選手たちとトレーニングをして、どんな刺激を？

貴田　判断基準と判断スピードは今までに感じたことのないレベルでしたね。特に刺激を受けたのが久保建英選手で、初めて会ったときからオーラが違っているというか。トレーニング中も判断スピードが際立っていたり、攻撃面に関して驚くことばかりでした。

――話をする機会も？

貴田　はい、できました。「筋トレも大事だけど、まずは体幹を鍛えたほうがいい」っていうアドバイスをもらいました。

トレーニングパートナーとしてアジアカップに参加した貴田遼河（右）。久保建英ら代表選手から多くの刺激を受けた　©︎JFA/AFLO

――試合やチームの雰囲気などに関しては、どうでした？

貴田　今回、2試合観戦させてもらったんですけど、2試合目のイラク戦は完全アウェイで、Jリーグでは感じられないような雰囲気でした。後ろに座っていた相手サポーターから僕らもすごく煽られましたし、これがワールドカップだったら雰囲気はもっとすごいんだろうなって。自分も国を背負って戦いたいって思いましたし、U-20ワールドカップで優勝するのは15歳のときからスタッフや仲間たちと目標にしていることなので、そこへの思いも強まりましたね。

「うまさを備えた選手になりたい」

――いよいよアルゼンチンでの挑戦が始まります。身近な目標は？　今、どんなことを思い描いていますか？

貴田　最初はセカンドチームだと思うので、早いうちにトップチームに上がって点を取ることを今は目標にしています。でも、行ってみないとわからないので、まずは早くプレーしたいです。

――もともとストライカーだけど、グランパスではシャドーもやってプレーの幅を広げました。でも、最終的にはセンターフォワードにこだわっていきたい？

貴田　ユースのときはセンターフォワードしかできなかったんですけど、トップに行って、健太さんにシャドーで起用してもらって、シャドーの楽しさを感じました。ひとつのポジションしかできないようだと、この先生き残っていけないと思うし、複数のポジションをこなすことの大切さも感じていて。目指す選手像として、点を取ることが一番ですけど、それ以外にもアシストだったり、チャンスメイクできるような、うまさを備えた選手になりたいので。だから、点にこだわりながらも、最低でもふたつのポジションをこなせる選手になりたいと思います。

――その後は、アルゼンチンからヨーロッパに羽ばたくという、他の人とは違うルートで世界を目指す？

©︎Kiichi Matsumoto

貴田　そうですね。南米で成長して自分のスタイルを確立させて、ヨーロッパに移籍して、チャンピオンズリーグやワールドカップで活躍したいっていう目標があります。個人としては、世界一のサッカー選手になることが最大の夢なので、その夢に向けてまずはアルゼンチンで頑張ります。