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プロ野球PRESSBACK NUMBER
野手→投手への転向に「やりがいはない。必死です(笑)」中日・根尾昂に聞いた、それでも打撃練習もする理由「9番として嫌なバッターになりたい」
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byHaruka Sato
posted2024/03/05 11:01
キャンプ地で取材に応じた根尾昂。投手転向3年目、異例の挑戦に取り組む現在地と打撃練習を続ける理由を問うた
数少ないプロ入り後の野手→投手のケース
プロ入り後に投手から打者に転向する例は多く、王貞治氏や故・川上哲治氏らのレジェンドをはじめ、近年では糸井嘉男(日本ハムなど)や福浦和也(ロッテ)らが首位打者を獲得する成功例となっている。しかし、その逆の例は日本人選手では外野手として入団した嘉勢敏弘(オリックス)などほんのわずかで、根尾の挑戦は前例のないものとなっている。
「前例のないものに取り組むやりがいですか? ないです。楽しさもやりがいもないですよ。必死です(笑)。試行錯誤というか、とにかく自分がもっと良くなるためにはどうすればいいかということを考えて取り組んでいるだけです。投げるだけじゃなく、もっともっと勉強することもたくさんある。そこは努力を続けていくしかないですね」
投手練習後に打撃練習をしていた意味
実は根尾は今でもバッティング練習に取り組んでいる。沖縄・北谷での春季キャンプ中は、投手の練習が終わった後にバットを持ち、しっかりと打ち込んでいたのだという。
「それはやらないと。先発でやるなら9番に入るので、1番に繋げるという意味で何とかして嫌なバッターになりたいというのはあります。下位から上位に繋げていけたら大量得点にも繋がりやすい。理想はそういう形を考えています。息抜きになる? いえ、バッティング練習は息抜きなんかじゃないですよ」
9番打者としての価値
投手と野手のジャンルを飛び越えたと言えば、大谷翔平(ドジャース)を忘れてはいけないだろう。プロ入りと同時に二刀流に取り組み世界一の存在となった大谷は別格としても、根尾も実は「転向」ではなく「二刀流」の道を進んでいきたいのだろうか。本人はその思いを明かさなかったが、いずれにしろ「9番」に根尾が入ることがチームにとってプラスになるのは間違いない。2年連続最下位に沈む中日は、昨年のチーム打率.234、71本塁打、370打点のいずれもリーグワースト。投手もなりふり構わず「9番打者」の仕事を果たすのが勝利への道だ。