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WBC“衝撃のスピード走塁”ソフトバンク周東佑京の今「取材でもちゃんと喋らなきゃ」「どうやったら試合に出られるか」レギュラー未定の“焦り”
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byJIJI PRESS
posted2024/02/19 11:04
ソフトバンク周東佑京28歳(写真は昨年末の契約更改時)
「僕は周東にも言ってるんです。1、2番はクリーンナップのための引き立て役みたいに考えられがちだけど、世界で一番いい足をもってるんだから主役にならないといけないよと。ホームランは確かに野球の華。だけど、周東みたいな選手が主役にならないと、足の速さを売りにして野球をやっている子供たちの未来がないじゃないですか。何か今までにない、歴史を塗り替えるような成績を残してほしいなと、野球界の先輩としてそう思ってます」
ソフトバンク復権の鍵は「世界の周東」
周東は1度目の盗塁王に輝いた2020年に50盗塁をマークしている。プロ野球のシーズン記録を問うと周東は「106個ですよね。福本豊さんの」ときちんと把握していた。
「いや、今の時代じゃ無理ですよ(苦笑)」
周東の実感として投手のクイックモーションのタイムは年々向上しているという。50個走った4年前と比べても、今の方が走りづらくなったと話す。
それでも足で主役の座を目指す、世界の周東である。
2010年以降のプロ野球を調べると、2011年に同じソフトバンクの本多雄一(現・一軍内野守備走塁兼作戦コーチ)が記録した60個が最多だ。
そんな話の流れで、周東に「WBCで世界一を経験した自信で、自分自身への期待値も上がったのでは」と水を向けると、ちょっと声のトーンを変えてこんな言葉が返ってきた。
「自分に期待しなくなったら終わりかなとは思います。だから常に自分には期待してます。だからそんな数字しか残せない自分に苛立ちながら、もっと出来るだろうと思いながら必死にやるんです」
4年ぶりのリーグ制覇と日本一のカギを握る男。まん丸な瞳の奥には確かな力が宿っているように見えた。