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WBC“衝撃のスピード走塁”ソフトバンク周東佑京の今「取材でもちゃんと喋らなきゃ」「どうやったら試合に出られるか」レギュラー未定の“焦り”
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byJIJI PRESS
posted2024/02/19 11:04
ソフトバンク周東佑京28歳(写真は昨年末の契約更改時)
WBC激走も…ソフトバンクでの立ち位置
昨年はWBC準決勝のサヨナラ神走塁で日本中を熱狂の渦に巻き込み、シーズンでは自身2度目の盗塁王を獲得した。知名度も人気も今や日本球界ではトップ級プレーヤーの1人に挙げられる。
だが、そんな周東もチームでバリバリの主力を張ってきたのかといえば、なんとも微妙なところだ。昨季の114試合が自己最多出場。規定打席到達はこれまで1度もない。昨季成績は打率.241、2本塁打、17打点、36盗塁、出塁率.307だった。
「それなりに試合には出ましたけど、やっぱり序盤に使ってもらってたときに打てなかった。打席数(268)の少なさや打率の低さにつながっているのかなと思います。とにかく数字的には良くないなと思います」
打撃で試行錯誤して、前半戦ではグリップエンドが極端に大きい「パックノブ(PUCK KNOB)バット」を使用したかと思えば、夏場には同僚の近藤から借りたバットをずっと使ったりと落ち着かなかった。ただ、それでも9月・10月は出場26試合で12度のマルチ安打を記録し、打率.330、34安打、12盗塁でプロ6年目にして初の月間MVP賞を受賞した。これは育成出身の野手としての史上初受賞でもあった。
その間、周東は1番打者に定着していた。その形でシーズンを終えたこともあり、2024年シーズンこそは1番・周東で一年間戦い抜けるのではないかという期待感が高まっている。先に説明したように周東が1番打者として機能すれば、ソフトバンク打線は相当な得点力を誇るだろう。
選手会長に…「取材でもちゃんと喋らなきゃ」
ただ、周東は笑って言う。
「正直、打順のこだわりはないんです。希望もない。試合に出られるならば7、8、9番だっていいです。とにかく試合に出ること。3割打ちたいとか50盗塁したいとか、今はそんなことも本当に考えていなくてどうやったら試合に出られるかばかり意識しています。というか、試合に出られるイコール、成績がついてきているからだと思うので」