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二軍スタート→一軍で敗戦処理→セットアッパーに…《昨季51登板の大躍進》大ケガ克服の日ハム・池田隆英“飛躍のきっかけ”はあの「百獣の王」? 

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高木遊

高木遊Yu Takagi

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posted2024/02/16 17:01

二軍スタート→一軍で敗戦処理→セットアッパーに…《昨季51登板の大躍進》大ケガ克服の日ハム・池田隆英“飛躍のきっかけ”はあの「百獣の王」?<Number Web> photograph by JIJI PRESS

昨季は日ハム“不動のセットアッパー”として50試合以上に登板した池田隆英。勝利の方程式の一角を担った

 2020年は二軍で好成績を収め支配下選手に戻ることはできたが、チームからの期待は高くなく、翌2021年2月下旬に日本ハムへトレードされた。

「もう自由にやろうと思いました。“人の言うことを聞いていても結果は出ないな”と思って、自然とそういう考えにシフトしていきました」

 誰かに対しての批判ではない。どちらかと言えば自己批判の意味合いが大いに含まれている。

「鵜呑みにしすぎていました。“練習をやればいい”“ただ量をこなせばいい”と思っていたんです。例えば、走れと言われて“走っていればいい”と思うんじゃなくて、走ることも必要だし、トレーニングも必要だし、柔軟性も大事。結局いろんなものに適量があるのに、周りに影響されてしまうことが多かった」

 トレードで、よりいっそう「野球人生がいつ終わってもおかしくない」と思えたからこそ吹っ切れた。日本ハムの環境もフィットした。トレーナーも膝の状態を気にかけてくれ、悪いなら悪いなりのエクササイズの提案ももらった。主体性を重んじるチーム方針もあり、体調管理もより細やかになり、2019年に発覚した小麦粉や乳製品へのアレルギーも踏まえた食生活や、睡眠・起床などの体のケアを含め、あらゆることに向き合った。

臨時コーチに訪れた「百獣の王」からアドバイス

 また池田からは意外な人物の名前も出た。

「武井壮さん」

 2年前の春季キャンプ。この年から就任した新庄剛志監督は奇抜とも言える様々な施策に打って出た。その1つに、元陸上十種競技日本王者で「百獣の王」を自称しタレントとして活躍する武井さんが臨時コーチとしてやって来たのだが、そこでも変わるきっかけを得た。

「球を速くしたいんですけど、どうすればいいですか?」

 シンプルに尋ねた。当時は「体重が重ければ重い方がいい」と思っていた。それにも当然、理論的なアプローチはあったが、武井さんは「それもあるけど、神経的なアプローチをした方がいい」と真摯に答えた。この助言をさっそく取り入れた。

【次ページ】 「去年の成績は超えたい。そうすれば自ずと…」

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