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長髪でゴツい宮城大弥、山﨑颯一郎は地震の募金を…「これほどのお客は初めて」スタッフ驚き“テレビに映らない”オリックスキャンプ風景
posted2024/02/17 11:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kou Hiroo
春季キャンプの時期になると、JR宮崎駅前から巨人、ソフトバンク、オリックスのキャンプ地に向けて臨時便のバスが運行される。
これまで、バスを待つ行列の長さが一番長かったのはソフトバンク、続いて巨人、そしてオリックスだったが、今年はオリックスが一番多かった。ソフトバンクは九州各地からの車での来客が多いが、それにしても大きな変化だった。
キャンプ地もすごい人出だ。オリックスが沖縄・宮古島から宮崎にキャンプ地を移して今年で10年、スタッフに聞いても「これほどのお客は初めて見た!」と言っていた。
オリックスキャンプは、一軍、二軍の全選手が参加する。メインとサブのグラウンドに分かれて練習するが、中嶋聡監督の方針として、一、二軍で分けるのではなく、中嶋監督が「この目で見ておきたい選手」をAグループ、「任せておける選手」をBグループに分けている。もちろん選手の入れ替わりは頻繁に行われる。
長髪の宮城…「首の太さ、凄いよね」
メイングラウンドではキャッチボールが始まった。肩まで届く長髪のゴツい選手が外野で投げ始めた。昔、日本ハムにいたメンドーサのようだ、と思ったらなんと宮城大弥。上半身の盛り上がりが半端ではない。オフの間に相当鍛えてきたな、と思わせる。
「首の太さなんか、凄いよね」
こうテレビカメラマン氏が話しかけてきた。山本由伸の後のエースの座は俺だ、と言わんばかりのアピールではあろう。
一方で背番号7の小柄な選手がボールを投げ始めた。寒いのか顔をフェースマスクで覆っているのが、今季、広島からFA移籍した西川龍馬だ。雰囲気、サイズ感ともに2022年までの背番号7だった吉田正尚にそっくりだ。打撃のスタイルも吉田正尚に近いものがあり、すんなり打線に入り込んできそうだ。
最初にブルペンに姿を現した吉田輝星
12球団随一、10人が一度に投げることができるブルペンは、観客席が設置されている。投球練習が始まるかなり前から、お客が大行列して待っていたほどである。
オリックスのブルペンではA・B両グループから投手が出てくるが、一軍の一線級の投手と、三桁の背番号の育成枠の投手が並んで投げることもある。これは若い選手には大いに刺激になるだろう。オリックスは毎年、ファームや育成から良い投手がどんどん上がって来るが、その原点を探れば春季キャンプのブルペンに行きつくのかもしれない。
この日のブルペン、最初に登場したのは23番の吉田輝星だった。