酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
長髪でゴツい宮城大弥、山﨑颯一郎は地震の募金を…「これほどのお客は初めて」スタッフ驚き“テレビに映らない”オリックスキャンプ風景
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2024/02/17 11:00
キャンプ本部に掲出された入場者数。訪れた日は21000人の大入りだった
吉田は予定数を投げ込んだ後、森と長い時間をかけて話をしていた。森は吉田にかなり具体的なアドバイスをしていたのではないか。
昨年、若月健矢は、ゴールデングラブ賞を受賞した。1つのチームで2人の捕手がベストナインとゴールデングラブを分け合うのは史上初めてだ。これもオリックスの強みの一つだろう。若月は「001」、育成左腕の佐藤一磨の球を受けている。二軍ではローテを維持しているが、一軍登板はまだなし。こうしたファームの投手が一軍の捕手に投げ込むことができるのも、オリックスならではだ。
村西が降りたあと、一番右のレーンに上がったのは背番号26の細身の右腕投手・齋藤響介だ。盛岡中央高から入って2年目。昨年9月26日の西武戦でプロ初登板、初先発して4回を零封して注目された逸材だ。
投げ始めると、記者陣から「速い!」という声が次々と上がる。
真横で投球を見ていた筆者も、村西の投球とは違う「シュッ」という短い音を聞いて、球速が違うのだろうと実感した。
FA加入の西川、そして頓宮も快音を響かせて
捕手の後ろで動きがある。これまでブルペンの真ん中あたりに設置されていた「トラックマン」が、齋藤の球を受ける捕手・福永奨の後ろに移動されたのだ。チームのアナリストたちも齋藤の仕上がり具合に注目しているのだろう。
たっぷり1時間、ブルペンを堪能してメイングラウンドに移動すると、ランチ特打が始まっていた。鋭い打球を反対方向にさく越えを連発していたのが「7」、西川龍馬だ。打球速度も速いが、パワーだけでなく技術も非常に高いのだ。バットの音が甲高い。
交代でケージに入った昨年の首位打者・頓宮裕真も、さく越えを連発している。観客席からはさく越えの度に拍手が起きていたが、中々に景気の良い光景だ。
イベントも盛りだくさん。能登半島地震の募金では、山﨑颯一郎などが先頭に立っていた。
球団発表ではこの日の来場者は2万1000人。気温14度。チームが強くなれば人気も盛り上がる。それを実感した球春だった。つづいて訪れたのは、ソフトバンク。オフシーズンに新加入した山川穂高らの様子はどのようなものだったか――。