酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「山川選手、頑張って」ファンの声、球場外周に“山川穂高の顔”はないが本人は守備練習で…“テレビに映らない”ソフトバンクキャンプ風景
posted2024/02/17 11:01
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kou Hiroo
毎年、宮崎キャンプ随一のお客を集めるソフトバンクキャンプである。今年はオリックスもすごい集客だったが、2月11日、日曜日のソフトバンクのキャンプ地では早朝から駐車場は満車。福岡、佐賀、大分、鹿児島と九州一円のナンバーを付けた車が集結している。キャンピングカーの比率も高かった。
考えてみれば、2023年2月の段階では新型コロナはまだ5類に移行していなかった。キャンプを見学する人たちにはマスク着用が推奨されていた。ようやくコロナが明けたのだ――と遅ればせながら実感した。
メイングラウンドの内野観客席は、大入り満員だった。
ソフトバンクはメイングラウンドの中心エリアに「有料席」を設けている。これは収益を得るためというよりも、宮崎県外から長時間かけてやってくるお客にも座って選手たちを見てもらおうとの配慮で、いろいろな特典もついている。
山川に対して本多コーチが…
小久保裕紀新監督になって、選手の移籍・加入がかなりあったが、何といっても今年の目玉は西武からFA移籍した山川穂高である。
ただし、球場の外周には、スター選手たちの顔写真がずらっと掲げられるのだが、その中に山川穂高の顔はなかった。ファンはその事情は知っているし、そのあたりは微妙な空気ではあったのだが……。
メイングラウンドでの投内連携、山川は一塁を守っている。新たな背番号「25」はまだ馴染みがない感じに見える。巨体に似合わず軽快な動きで打球、送球を処理している。山川の必死の思いが伝わってくるようだ。
「ヘイ、一塁」
本多雄一コーチが大きな声で山川に気合を入れている。
2年ほど前まで春季キャンプと言えば、「熱男」こと松田宣浩が三塁に陣取って「そらいこう!」「いいよ、いいよ」と球場全体を鼓舞していたのだが、その姿はもうない。プロ野球の新陳代謝の早さを実感するが、山川は松田に代わって内野陣を鼓舞する存在になることができるのだろうか。
笠谷、坂東も飛躍のために投げ込み
ブルペンのあたりに人が集まってきた。ソフトバンクは一度に7人が投げることができるブルペンだが、一つのレーンを潰して様々な計測機器を設置しているため、最大6人が並ぶ。投手、捕手の間にはラプソード。捕手の背後には背の高いトラックマンが設置された。
最初にブルペンに上がったのは左腕の笠谷俊介だ。