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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「ファイターズ時代と変わっていなかった」WBCの“大谷翔平&ダルビッシュ秘話”から「ロッテ指揮官のリアル」まで〈吉井理人監督インタビュー〉
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byHaruka Sato
posted2024/02/13 11:05
インタビューに率直な思いを明かしたロッテ・吉井理人監督
WBC投手コーチの経験
今季はキャンプからの準備期間が十分に取れる。
昨季は、開幕前までワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の侍ジャパンの投手コーチとして、世界一になった瞬間を味わった。
「こう言っちゃ申し訳ないんですが、WBC、めちゃくちゃ楽しかったです。ダルビッシュ(有)、大谷(翔平)の参加が決まり、メンバーを選んだ時点で、『これ、絶対勝つでしょ』と思いました。僕の仕事はケガをさせないこと、そしてモチベーションを保つということでしたが、ダルビッシュがリーダーとして仕事をしてくれたので、僕は見守るという形でした」
準決勝のメキシコ戦では追い込まれ、「さすがに慌てました」と振り返るが、村上宗隆の逆転サヨナラ打で逆境を乗り越えると、決勝ではダルビッシュ、大谷の豪華リレーで優勝を飾った。
「本当に強いチームは…」
「もともと準決勝、決勝ではふたりの登板予定はありませんでした。でも、準決勝のあと、『解禁』になったんです。それだったら、ダルビッシュが8回、大谷が9回で行くしかないだろうということで。ファイターズ時代、僕は投手コーチで大谷と一緒にやってましたけど、楽しそうに野球をやっているという点では変わってなかったです。それはちょっと嬉しかったですね。もちろん、プレーの方は凄みが増していて、特に打つ方は数段、レベルアップしてました」
WBCの投手コーチを務めたことで、見えてきたことがあった。
「本当に強いチームというのは、監督やコーチが引っ張っていくものではなく、選手の中のリーダーを中心にして結束するものなんだな、と」
歓喜に浸ってからの帰国。実は、久しぶりにマリーンズに戻ってからは慌てた。
「開幕に向けて、いろいろと考えました。チームにはシーズンを通しての大きな戦略があります。それを実現、達成するために、毎日の試合でも、しっかり戦術を考えなければいけない。WBCでは仕事が少なかったんですが、これは忙しいぞと(笑)」
最終戦での2位確定
昨季は「山あり谷あり」の日々となった。
序盤は好調、5月終了時点では26勝16敗2分けで首位に立った。7月が終わっても、首位のオリックスには3ゲーム差の2位。優勝が狙えた。ところが−−。
夏場から故障者、体調不良者が続出して、クライマックスシリーズ(CS)進出を決めたのは143試合目、最終戦だった。
際どくCSに滑り込んだものの、吉井監督としてはシーズン終盤に先発投手が次々に離脱してしまったことがショックでもあった。
「シーズンを通してのプランとして、先発投手陣については、最後までローテーションを守れるようにマネージメントしていくつもりでしたが、上手く行かなかった。気をつけていたんですがね……。自分は先発も抑えもやりましたし、コーチとしても現場を預かってきて、先発が1年のうちに調子の波があるのはだいたい理解しているつもりでした。ところが、昨季は回復度については、かなり個人差があるということを実感しました」