「V3」オリックスとの差

　苦労が続いたシーズン終盤だったが、CSのファーストステージでは、劇的な勝利を収める。

　1勝1敗で迎えた第3戦は、0対0のまま延長戦に突入。10回表にソフトバンクに3点を許してしまうが、粘るロッテは藤岡裕大の同点弾、安田尚憲のヒットで劇的なサヨナラ勝ちを収めた。

「レギュラーシーズン含め、自分が何回か継投の判断を失敗したことがありましたけど、バッターに助けてもらいました。選手たちに本当に感謝するしかなかったです」

　しかし、ファイナルステージではオリックスに1勝を挙げるのがやっと。

「バファローズ、強かったです。『先発、いったい何人おんねん』というくらい次から次へといい投手が出てきましたからね。それでも、CSでの1試合ごとを見ていくと、そこまでこてんぱんにやられた印象はない。でも、ちょっと追いつかないかな……という感じは正直、ありました」

CSで「オープナー」起用

　ギリギリの戦いが挑めたのは、吉井監督のクリエイティブな采配があったからだともいえる。

　印象的だったのは第3戦。先発に澤村拓一を「オープナー」として起用し、中森俊介、国吉佑樹、坂本光士郎とブルペン投手でつなぐという苦肉の策で7回までを無失点で抑えた。「いるメンバーでどうやったら勝てるかと考えたら、オープナーの一択でした」

　厳しい状況のなかで、ファイナルステージまで戦えたことも選手たちにとってはプラスになったはずだと吉井監督は語る。

「あの苦しい状況のなかで、あそこまで戦えたことは選手にとって自信になったと思います。ただ、シーズン終盤に活躍してたのが、おじさんたちでしたけどね（笑）。それを見てた若手が、どう成長していくかが問われると思います」

新シーズンの青写真

　選手の成長に期待しつつも、吉井監督の采配、マネージメントに関する「自己採点」は厳しい。

「レギュラーシーズンで2位になり、ホークスにファーストステージでは勝てましたけど、達成感はなくて。やっぱり、離脱した先発投手陣を最後に復帰させられなかったことがショックでした。どちらかといえば、失敗したという気持ちの方が大きくて」

　失敗。

　自らに厳しい判断を下した吉井監督は、2年目の今年、どんなプランを描いているのか−−。その青写真は、先発投手陣の整備から始まった。

〈つづく〉

#2に続く

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