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「決断しづらかったですか?」“板倉滉→町田浩樹交代案”に答えた森保監督は「だけど」と付け足し…“テレビに映らなかった”イラン戦舞台ウラ
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byJFA/AFLO
posted2024/02/09 17:01
イラン戦後の円陣での森保一監督。その後の取材での詳細なやり取りはどんなものだったのだろうか
これまでの選手起用を踏まえれば、日本代表のセンターバック(CB)で交代出場の1番手は、町田浩樹だったはずだ。彼は190cmの長身CBだが、左利きの選手である。右CBを務めていた板倉に代えて投入するなら、冨安健洋を左から右CBへと入れ替えないといけない。試合中にCBのポジションを移すのをためらう監督もいるだろう。
その上で投げかけた質問は以下の通り。
「板倉選手はイエローをもらっていたし、代えても良かったと思うのですが、入れるなら町田選手ですよね。そうするとセンターバックを左右で入れ替えないといけない。その決断はしづらかったですか?」
森保監督が「だけど」と付け足した説明とは
森保監督はこう答えた。
「そうですね、左右を入れ替えるのは考えていなかったです」
これが板倉の交代をためらった理由だったようだ。
「だけど」と付け足してから監督はこう続けた。
「サイドバックを代えたり……相手のサイド攻撃が我々にとってだいぶ圧力になっていましたので、対策は考えていました。しかしながら耐えていって、できるだけ前線の交代カードを切りたいという思いはありました。守備で受けるだけではなく、何とか攻撃で推進力を上げていけるようにと考えていたのはあります」
また、シリア戦でPK戦を含めて120分を戦ったイランが交代カードを1枚も切ってこなかったことにも不気味さを感じていたようだ。「相手が交代カードを切っていない中で、時間の推移を見て延長になることも考えました。相手の出方も見ながら、我々が相手を上回っていくかという所でどうカードを切ろうかなと思っていました」と、ほかの記者の質問にも答えている。
ただ、カタールW杯のドイツ戦では自ら動いて、劣勢を跳ね返す選手交代をしてみせたのが他ならぬ森保監督だ。今回は知らず知らずのうちに受け身の思考になっていたのではないかと思わざるを得ない。
3バックに変更しなかった理由については…
では、「3バックに変更しなかった」のは何故なのか。
後半のイランは両サイドのMFが高い位置をとり、中央にFW2人が並んで〈4-2-4〉のような形にした。そこで日本が3バックにすれば、攻守両面で恩恵を得られたと多くの人が感じたはずだ。