サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
板倉滉に起きていた“異変”…まさかの敗戦直後、板倉がメディアに唯一“答えなかった質問”とは?「体調不良」はPK献上に影響したか
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byGetty Images
posted2024/02/08 17:30
アジアカップイラン戦、痛恨のPK献上となった板倉滉のファウルシーン
バーレーン戦での打撲は「大丈夫」だったが…
板倉は1月31日の決勝トーナメント1回戦・バーレーン戦の終盤に左すねのあたりを打撲するアクシデントにも見舞われた。試合終了と同時にピッチに座り込んだ様子を見るとかなりの痛みが伴っていたことは想像できるが、イラン戦前日の練習ではテーピングを施しながらも報道陣に公開された時間は普通に動いていたし、練習後の取材では「大丈夫です」と語っていた。
板倉が気丈に振る舞っていた可能性はあるが、ピッチに立った以上は問題はなかったと思われる。
だが、イラン戦では崩れた。彼らしくないプレーが続いた。ベスト8敗退という重苦しい現実が目の前に広がった。しかし、試合後の取材エリアで板倉は、PKを献上したシーンで起きていた事象とその時点での判断について、包み隠さず説明した。
「ギリギリで(冨安健洋の)声は聞こえたが、後ろの状況を自分で把握できていなかった。ボールに行くという選択をした中で触ることができず、ボールしか見えていなかった。後ろから走ってきた相手が見えていなかったという視野の狭さを反省していかなければならない」
PKを献上した場面だけでない。前半24分にイエローカードをもらったことでその後のプレーに影響が出たことも板倉は認めていた。そして、「局面ごとに全然戦えていなかった。きょうの敗因は自分にある」と、とがった槍のような言葉を自分に向けていた。
板倉が“避けた質問”の答えとは…
ただ、「体調不良だったのでは?」という質問に対しては「ピッチに入ったらそんなの関係ない。中2日については相手も同じ条件で戦っている。その中でああいうパフォーマンスをしている時点で代表選手としてピッチに立つ資格はないと強く感じた」とはぐらかし気味の返答に終始した。
板倉はインドネシア戦後の1月27日の取材対応時に「コンディション的にそれ(体調不良)はあった」と認めていたものの、それ以上のことは語っていなかった。そのスタンスはイラン戦後も変わらなかった。
触れることも触れられることもしたくないであろうPK献上のシーンについては詳らかに説明したが、言い訳になることについては最後まで明言を避けた。
「こんなに自分自身でゲームを壊すことは今までなかった。自分の力の無さが出た。より一層、サッカーに向きあっていかなければいけない。ドイツに戻って自チームでパフォーマンスを出すことに集中したい。最終予選で力を出せる出せないは日頃の戦いがすべてだと思っている。ここから頑張る」
言い訳めいた言葉をすべて飲み込んだ様子に、2倍強くなって戻ってくるという決意がにじみ出て見えた。