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「まあ、そうなるよな…」久保建英と前田大然の交代で“不吉な予感”が…イラン戦カメラマンが現地で撮影した“日本が力尽きた決定的瞬間”
text by
原壮史Masashi Hara
photograph byMasashi Hara
posted2024/02/06 17:01
突破をはかるアリレザ・ジャハンバフシュと、マークにつく守田英正。イランの決勝点はジャハンバフシュのPKによってもたらされた
イランは強引さを強めていったが、日本も遠藤航と毎熊晟矢がミラド・モハマディを挟んで左サイドからの突破を阻んだり、上田がスライディングでフィードを阻止したりとエリアごとに対応。ベンチでは森保一監督がマイボールでのリスタートの度に指笛を吹いて指示を飛ばし、ファウルがあれば“海外仕様”のジェスチャーと表情で副審にアピールするなど、流れが相手に傾くことを少しでも軽減しようとしていた。
奮闘していた久保建英と前田大然が交代し…
しかし、日本が受けの態勢になるにしたがって、次第にイランが落ち着いてボールを保持する時間が増えていく。右サイドのジャハンバフシュが高い位置でボールに絡むようになっただけでなく、アズムンが前線で動き回れるようにもなり、どこからでもシュートまで持ち込めるようになっていった。
どうにかしのいで1-0のままハーフタイムを迎えたが、後半が始まっても試合展開が日本のものになることはなかった。ハーフタイムでの修正がうまくいっていないのは明らかだった。立ち上がりから攻め立てられてあっさりと1-1にされると、その後もほぼ一方的な攻勢を許した。
「ほぼ」だったのは、ボールを受けると複数人での厳しいチェックを受ける久保建英が、分が悪い状況であっても果敢にチャレンジすることでチームメイトが活用できるスペースを生み出し、チャンスを演出していたからだ。だが、背番号20は67分に南野拓実との交代でピッチを離れた。
また、同じタイミングで前田大然も三笘薫との交代でベンチに下がり、不吉な予感はいよいよ色濃くなっていく。余裕を持ってボールを持つようになったイランに対し、前田の猛プレスをもってしても相手にエラーを起こさせる回数は減っていたが、彼がいなくなったことによってイランは後方からより自在に、より質の高いロングボールを供給できるようになった。
いつしか、写真1枚に写り込む人数の比率も狂い始めていた。とうとう跳ね返すだけで精一杯になってしまった日本だが、そんな中でも冨安や守田は他のポジションに指示を出してチーム全体の距離感を整理しようとしていた。しかし、猛攻を受け続ける日本は、細かいディティールを全員で共有するタイミングを失っていた。