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人的補償“和田毅パニック”のウラで…広島⇔オリックスでは「超意外な人選」ベテラン記者が「今年カープは“ドラ1”を2人獲得した」と語るワケ
posted2024/01/18 06:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
JIJI PRESS
広島・西川龍馬選手がオリックス・バファローズにFA移籍して、その人的補償が「日高暖己投手」と報じられた時「カープ、やるなぁ」と思わずつぶやいてしまった。
ここ数年、仕事やら何やらで、広島やカープとのご縁が厚くなってきた身としては、いつの間にか広島カープに対する思い入れも強くなっているのかもしれない。ちょっとしたごひいきモードで、「快挙」を讃える心持ちになってしまった。
プロ1年目だった日高投手が選ばれたのは、大きなショックと言ってもよいほどの驚きだったが、制度上、人的補償のプロテクトは28人である。
わかりやすく言えば、「よそに獲られちゃ困る選手を28人に絞る」ということだ。
一軍ベンチ入りが26選手なのだから、28人という「定員」など、あっという間に埋まってしまう。まして、3年連続パ・リーグ制覇のオリックスである。選手の層も厚くなっている。
その将来性は高く評価しながら、泣く泣く外した1年目の快腕を、広島カープが放っておかなかった。そのへんが、実情なのだろう。
高校時代の日高投手の記憶
日高投手については、忘れられない記憶がある。
2022年・夏の甲子園大会。日高投手擁する富島高校(宮崎)と下関国際高(山口)との2回戦だ。
184センチ77キロ。伸びやかな長い手足を躍らせて投げる全身の運動量と躍動感が、まず素晴らしかった。右打者にも左打者にも、長身から投げ下ろす140キロ台前半の速球で内角をガンガン突いていく投げっぷりも雄々しく、「こりゃあ、フレッシュでエネルギッシュなピッチャーが出てきたぞ!」と、こちらの胸も躍ったものだった。
その速球が狙われていると察すると、今度は、試合中盤からタテのスライダーやカーブ、フォークを多めに交えて投球のテンポを上げていく。
そして、迎えた9回。
追加点の5点目を奪われて、バックアップしたバックネット前からマウンドに戻っていく日高投手の後ろ姿が、この目に飛び込んできた。