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記者の質問で“不穏な会見”に…それでも“日本を苦しめた”トルシエ監督(68歳)に久保建英、中村敬斗が驚いた理由「圧倒された感じがあった」 

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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photograph byMasashi Hara/Getty Images

posted2024/01/15 17:13

記者の質問で“不穏な会見”に…それでも“日本を苦しめた”トルシエ監督(68歳)に久保建英、中村敬斗が驚いた理由「圧倒された感じがあった」<Number Web> photograph by Masashi Hara/Getty Images

1月14日の日本ーベトナム戦で言葉を交わすトルシエ監督と森保監督

会見でトルシエへの“ある質問”に不穏なムードが…

 23年3月にベトナム代表監督に就任したトルシエ監督は、二十数年前に日本で指揮を執っていた時と同様にU-23ベトナム代表監督も兼任しているが、ここまで4勝8敗と振るわず、ベトナム国内では批判が渦巻いていた。今回のアジア杯の結果次第では解任の可能性も取り沙汰されるような窮地に立たされているという見方もあった。

 そういった状況で迎えたアジア杯グループステージ初戦の相手はFIFAランクがアジア最高位の17位である日本。試合前日には会見で記者陣から「日本人はベトナムの選手をほとんど知らないが?」という指摘を受け、会見場に不穏なムードが漂う場面もあった。

 しかし、20年前なら顔を真っ赤にして怒るようなシチュエーションでも指揮官が顔色を変えることはなかった。声のトーンは多少強まったが、あくまで冷静にこう言った。

「確かにわれわれの選手は全員がベトナムでプレーしている。だから、この選手が何という名前かは知られていないだろう。けれども、20年前の日本も選手の名前は(外国で)知られていなかった」

「選手が見せてくれた戦う姿勢に満足している」

 終わってみれば2-4でベトナムは敗れた。しかし、日本を苦しめたという事実、そして、日本に逆転を許した後もベトナムがプレーの質や勝利への意欲を落とすことなく最後まで走り、戦い抜いた事実があるからこそ、久保や中村が感嘆混じりの口調で「トルシエ」の名前を口にしたのだ。

 トルシエ監督は「選手が見せてくれた戦う姿勢に満足している」とベトナム選手を称えた。穏やかな表情ではあったが、この一戦が日本に与えたインパクトは20年前の日々を思い出させるような大きさだった。

#2に続く
「僕の責任だと思う」イラク戦後に打ち明けた“2人の選手”「撮影ルール無視の中東メディアも…」TVには映らなかった“まさかの敗戦”の裏側

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