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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
英国紙も絶賛「エンドウは不可欠」遠藤航30歳“異例の移籍”から4カ月…低評価からの大逆転、本人が語った「リバプールは僕次第ぐらいの気持ち」
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byGetty Images
posted2023/12/27 19:37
今年8月にリバプールに移籍した遠藤航(30歳)。現在公式戦7試合連続でスタメン出場中(写真は8月)
「連戦ですが、しっかりとリカバリーをしながら、とにかく毎試合毎試合、後のことは考えずにやるというか。次の試合のことは考えずに、とにかく100%でやることを意識しています。
自分の中では、チームとしても、個人としても、ベストパフォーマンスをどんどん更新している感覚でいます。だから、今のプレーを続けていくことが大事だと思う。
アーセナル戦のような試合が基準だと思っています。それを忘れないことが大事。今日、どれだけの日本人が試合を見てくれたか分からないですけど、この試合を基準に、またサッカーを見てほしい。サッカーを見る目も、日本のサッカー(のレベル)も上がるかなと思っているので。日本代表のキャプテンとしては、プレーでとにかく見せ続けて、日本サッカーを引っ張っていければいい」
話を聞いていて感じたのは、遠藤の人柄、責任感の強さだった。リバプールでのプレーに充実感を漂わせながらも、日本サッカーの在り方にまで視野を広げるあたりに、日本代表キャプテンとしての責任感が伝わってきた。
ひとつの視点だけに拘るのではなく、広い視点で物事を捉える――。こうしたことが自然とできるからこそ、遠藤は日本代表で主将を務めているのだろう。そして、この視野の広さこそが、遠藤がリバプールにフィットしてきた要因のように感じる。
クロップと「最近は話していない」
遠藤との質疑応答はさらに続いた。
「遠藤選手をスタメンに抜擢するようになったクロップ監督から、どんな言葉をかけられているのか」。そんな質問をぶつけてみると、日本のサムライは次のように明かした。
「最近は全くないですね。個人的に話すこともない。最初に移籍してきた時は“リバプールはどうやっているか”みたいな説明は受けました。ですが、ここ最近は別にありません。多分、自分の感覚がいいのを分かってくれているからこそ、特に細かい指示はないというか。“攻撃は自由にやってくれ”みたいな感じなんで。はい、自由にやってます」
選手思いのドイツ人指揮官だからこそ、気持ちを奮い立たせるような言葉をかけているのだろう――。そんな考えから尋ねてみたが、予想は大きく外れた。むしろ56歳の指揮官は、温かい眼差しを向け、遠藤の背中をそっと押すように見守ってくれているという。
「エンドウを恋しく思うだろう」
最後に、どうしても聞きたいことがあった。
試合前、リバプールの本拠地アンフィールドではクラブ応援歌『You’ll Never Walk Alone』の大合唱に包まれる。「試合前のピッチ上で聞く“ユルネバ”は、どんな風に聞こえていますか」。遠藤はしみじみと答える。