「僕も初めはどうすればそういう流れが変わるのか考えました。上手い子たちが地元に残って活動をすれば変わっていくかも知れないですが、MLBがそういう流れを変えない限り、無理だと思いました」

　マイナー競技とされている以上は、本格的なプロリーグ設立は現時点では難しい。それはドイツに限らず、イタリアやオランダなどもそうだ。ヨーロッパ諸国の人々の中に、野球をやっている人の存在すらも周知されていないのが現状だ。

「どれだけいい選手が国内で出てきても、アメリカ……メジャーがお金で引っ張っていくというシステムが影響しています。アメリカは世界のいい選手を囲いたいんでしょうけれど、そこから変えていかないと野球は世界に普及しないと思います。ヨーロッパの人から見たら『アメリカ人が頑張っているスポーツ』という感覚なんじゃないですかね」

「日本の野球選手より野球が好きなんじゃないですか」

　まずは野球を好きになってくれている若者の興味をさらに深め、ヨーロッパ諸国で一人でも多くの人の目に止まるスポーツにしていけたらという密かな願いもある。

「国の中で野球を広めるというより、今野球を好きな子たちに、もっとうまくなる方法だとか、その子たちが今後それを伝えていけるシステムを作っていけたらいいですね。実際にリーグでプレーしている子たちの野球熱は高いですよ。

　だって、昼間は働いて、野球道具を自費で揃えて試合をするのに、休みである土日に集まっているんですよ。野球をやるために仕事をしているんじゃないかって思うほどです。日本にいる野球選手よりも野球が好きなんじゃないですかね」

　伝道師……とまでは言わない。44歳となる来年も、趣味の野球を楽しみながら、好きな野球で何かを遺すことができれば――。久保の野球人生の第二ラウンドは、海を越えてまた違う輝きを放とうとしている。

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“松坂世代”でも未だ現役…元DeNA・久保康友43歳が“野球はマイナー”なドイツで「ユニフォームを毎日洗う理由」を質されたワケ《NPB通算97勝》