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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「我流で『ここまで飛ばせるのか!』という選手も…」それでも元DeNA・久保康友43歳が感じた「欧州で野球が根付かない」理由《ドイツで現役続行》
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph byAFLO
posted2023/12/22 11:03
「松坂世代」の久保康友は43歳のいまもドイツで現役を続ける。欧州での野球の普及にも興味を持っているという
グラウンドは赤土の粘土質で、マウンドは硬めのいわゆるアメリカ風。グラウンドの土を日本のように平らに綺麗にする概念はなく、整備されることはほとんどない。表面はボコボコで、その影響でボールが跳ねてしまっても「仕方ないね」で済まされてしまう。
何より痛感したのは“野球の質の差”だ。
「細かいルールを知らない人が多いので審判も誤審が多いんですよ(苦笑)。あとはチーム内にアメリカでプレー経験のある選手が数人いても、その他の選手は経験が浅いので、レベルの差がかなり大きいんです」
ヨーロッパはサッカー大国が多くひしめく。サッカーを経由して他のスポーツに挑戦している者も多く、身体能力の高い選手は数多く目にした。
「我流でここまで飛ばせるのか」と驚かされる選手も
「ちゃんと当たればNPBにいてもおかしくない、みたいな選手は何人かいました。でも、上体だけで振ってスイングがむちゃくちゃなので、ちゃんと当たらないんです(苦笑)。それでもここまで飛ばせるのか……みたいな選手はいます。だから評価するのが難しいですね。
彼らは仕事をしながら週に2、3度しか練習できなくて、僕らの小中学生の時の練習量よりもはるかに少ないのに、我流でここまで飛ばせるのかという選手もいます。朝から晩まで野球漬けにしたら……凄いことになりますよ。もう、のびしろしかない選手ばかりですよね」
それでも現地の野球好きな若者からすると、久保の練習に向き合う姿は新鮮だったようだ。
「僕は全体練習の合間でも1人で走ったりトレーニングをしたりしていたんです。そうしたら、彼らから『なぜ、そんな練習をしているんだ』と尋ねられて。こういう練習をしたら、こういう動きができるようになるとか、心肺機能を鍛えたらこの歳なら普通は3、4回しか投げられないけれど5、6回は投げられるようになったんだとか。球はみんなの方が速いけれど、長く投げられるようにするにはこういうことをすると良いよ、みたいなことを話したら、どんどん質問されるようになったんです。自分は先発した試合をほぼ完投していて球も速かったので、彼らも興味があったんでしょうね」