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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「我流で『ここまで飛ばせるのか!』という選手も…」それでも元DeNA・久保康友43歳が感じた「欧州で野球が根付かない」理由《ドイツで現役続行》
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph byAFLO
posted2023/12/22 11:03
「松坂世代」の久保康友は43歳のいまもドイツで現役を続ける。欧州での野球の普及にも興味を持っているという
それから遠投の投げ方を見て欲しい、この動きはどうなのかなど翻訳ソフトを介して事あるごとにコメントを求められることが増えた。「お前がいてくれて、これだけ化学変化が起きるとは思っていなかった」と監督も驚きの声をあげ、9月末にドイツを離れる前には監督に「来年も来て欲しい」とお願いされたという。
「本当は、来年は契約するつもりはなかったんですけれど、そこまで言われたら断れない」と久保は来季もドイツでプレーすることを決意している。
「彼らもうまくなりたいんですけれど、やり方が分からないんですよね。『お前みたいに体が小さくても、うまく体を使って投げれば速いボールは投げられるよ』とか言ったら、むちゃくちゃ喜んでくれた選手もいたんです。そこから色んな質問をする選手が増えて、『コイツに何かを聞けば何か答えてくれる』みたいな雰囲気になったんです」
世界的にはマイナースポーツとされている野球。
それでも、ヨーロッパで野球に興味を持つ若者に何かを伝えられるのならば、という思いはある。
「狙ってやっている訳ではないんですけれど、そういう風になればいいなというのはあります。それでもヨーロッパは、やっぱりスポーツの根っこはサッカーなんですけれどね」
なぜヨーロッパで野球が根付かないのか
これだけ野球を愛してくれている若者はいるのに、なぜ野球がヨーロッパに根付かないのか。その理由は明白だと久保は言う。
「一般の人で身近に野球をやっている人がいないからです。何で身近にいないかと言うと、ヨーロッパでは少しでも野球が上手い子がいると、みんなアメリカに引っ張られてしまうんです。今年のWBCのヨーロッパの各国の代表選手も、自国ではなくみんなアメリカのチームでプレーしていて、自国のリーグには誰一人所属していない」
選手のプレーを間近で見られないから、応援する気持ちにはなかなかなれない。誰も知らない選手が勝手に国の代表になっている――それがヨーロッパでの野球の現状だった。