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オリンピックPRESSBACK NUMBER
「競技に集中していない」批判も…高梨沙羅27歳が明かす“超シンプルな毎日”、トップアスリート24時間の時間割「お酒も飲んだりしますよ」
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byKiichi Matsumoto
posted2023/12/19 11:04
今年10月に27歳になったスキージャンプ高梨沙羅。今回のインタビューではNumberのカメラマンが特別フォトを撮影した
「でも全てが違うってわけでもなくて、自分の中でもこういう自分というのが決まってるわけじゃない。うーん、なんかたまに……いや、これを言ったらなんかすごくちゃらんぽらんに見えそうなんでやめておきます(笑)」
――いや、大丈夫です。言いましょう(笑)。
「なんか、自分に飽きちゃう時が結構あって、気分転換に違うことをしたくなるっていうのもあります」
確かに数週間前のイベントで会ったときは金色だった彼女の髪の毛は、この日すっかり黒くなっていた。これも彼女の言う気分転換のひとつなのだろう。
「インスタで“やりたくないこと”」
普段アスリート的な高梨を見慣れている人が、そのギャップを一番感じることができるのが彼女のインスタグラムだ。2019年から始めて現在フォロワー数は34万人。新しい投稿があればスポーツ新聞がすぐさまネットニュースに仕立てるぐらいだから世の中の関心も高いに違いない。
趣味のカメラで撮った写真だったり、ヴィンテージレコードをあさる姿だったり、イケてるファッションスナップやコスメのことだったり、それらの投稿はほぼ高梨が自分自身で行なっている。
そこには彼女なりのルールがある。
「インスタではこういう試合があって何位でしたという結果報告はあまりしたくないんです。それは他の誰かの投稿やメディアで見ることができるし、いつもみんながメインで見ている部分。あえてそこを出す必要はないかなと思います。だから、なるべく素の生活の一部を切り取った様子を出したいんです」
そこに描かれる生活を見ていると、なんだかとびきりオシャレな日常を過ごしているように見える。もし「私生活がオシャレなアスリート」ランキングがあったら確実にランクインしてきそうな……。
「でもSNSっていいところとか、宣伝したいことがある時しか載っけないじゃないですか。生活の一部だったとしても、いいところしか見せてませんから(笑)」
いいねの数などにはそこまでとらわれたくないと言うが、投稿にリアクションしてくれる性別や世代などインサイトを見て学ぶことはあるという。
「なんでこれにいいねがついたんだろうとか考えることに繋がるし、傾向を知ることができて面白いです。これは女性の方が好きなんだとか、こっちは男性の方が多いんだとかニーズもわかりますしね」
それに基本的に競技について投稿しないとはいえ、根底には競技への思いが潜んでいる。女子ジャンプの歴史のバトンを次の世代へと繋げていくツールとしての役割である。
「スキージャンプ競技って日常とかけ離れすぎているから一般の人はイメージもつかないし、野球とかサッカーみたいに気軽にできる競技でもないですよね。未知だと思うんですよ。だから、スキージャンプ、特に女子のスキージャンプをメジャーにしていくために少しでも親しみを持ってもらいたい。興味がない人でも違うところから興味を持ってもらって広まっていけばいい。そうやって活用しようと思ってます」
「24時間何をしている?」高梨沙羅の時間割
ただ、SNSで競技以外のことを発信していると「競技に集中していない」というよくわからないイメージを抱かれることが世の常。
ということで、高梨にスロベニアにいるときの1日のスケジュールを聞いてみた。試合のない普段の生活、わざわざ円グラフに書いてくれた1日の流れはこんな感じだった。