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青学大“じつは優勝が期待されていない代”から急激に強く…何が?「寮内での飲酒禁止」「朝練は5時30分から」箱根駅伝“あの初優勝”の真実 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byTakashi Shimizu

posted2023/12/31 11:03

青学大“じつは優勝が期待されていない代”から急激に強く…何が?「寮内での飲酒禁止」「朝練は5時30分から」箱根駅伝“あの初優勝”の真実<Number Web> photograph by Takashi Shimizu

青学大“期待されていない代”が語る箱根駅伝初優勝の裏側

 ただ、原は学生に少しずつ覚悟を要求していた。高橋らの世代が2年生になった時、青学大の陸上部員としていられるための最低タイムが設定された。5kmを14分30秒。確かにこれくらいのレベルに達していなかったら全国では戦えない。しかし、他の大学なら、このレベルに満たない部員はいくらでもいる。高橋が言う。

「原さんは、いつも具体的なんです。僕らの上の代には、最後、補欠のまま終わっても、がんばって続けてよかったです、みたいな先輩もいた。でも僕は内心、がんばってないから、そうなったんだろうと思っていた。なので、そのルールも納得していました。なんとなく辞めさせられたらたまらないけど、1年前から具体的な数字を言われていたら、受け入れざるを得ない」

「門限10時」「寮内での飲酒禁止」ルールの徹底

 とはいえ、「三冠」という目標を聞いた時、高橋はさすがに「ふざけ過ぎだろ」と思ったという。

「でも、他のやつらが『三冠しかねえだろ』って。そのとき初めて、このチームいいわ、って思いましたね」

 スローガンは、高橋が決めた。「最強へ向けての徹底」。すでに、門限10時、寮内での飲酒禁止といったルールを破る部員は皆無だったが、細かいところにこだわった。たとえば、朝練は5時30分からだが、たまに遅刻する部員がいた。ただ、誰も注意しなかった。そこを「徹底」したのだ。

 スローガンを決めて間もなく、3年生の主力部員が朝練に遅刻した。

〈つづく〉

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青学大“じつは優勝が期待されていない代”から急激に強く…何が?「寮内での飲酒禁止」「朝練は5時30分から」箱根駅伝“あの初優勝”の真実

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