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「大谷翔平のエンゼルス入団よりも…」“Jを最も知る外国人監督”ミシャ66歳、日本サッカーへ愛の警鐘「ポイチさんには期待している」
text by
佐藤景Kei Sato
photograph byKei Sato
posted2023/12/01 11:05
外国人監督のJリーグ記録を塗り替えてきたミハイロ・ペトロヴィッチ監督（66歳）。愛弟子でもある日本代表・森保一監督へのエールも語った
「ファイターズについてどう思う？」
以前、取材の中で唐突に聞かれたことがある。コンサドーレと同じく北海道にホームを構えるプロ野球の球団、北海道日本ハムファイターズに関する漠然とした質問だった。「新球場が出来て盛り上がっているのでは？」と返すと、ミシャは首を振った。
「われわれの試合があって、ファイターズの試合のない日のスポーツニュースを見てほしい。コーナーのほとんどがファイターズの話題で、コンサドーレの試合に関してはほんの数秒、結果が映るだけのこともある。これは広島の監督時代から感じていることだが、この国は野球に関わる人の数の方が圧倒的に多い。広島時代は毎年、宮崎でキャンプをやっていたが、取材に来るのは4、5人いればいい方だった。でもある時、20人以上、来たことがある。どうしたのか？ と私が聞くと、広島カープの練習が休みだからついでに来たと言われて（苦笑）。
ヨーロッパではサッカーがナンバーワンのスポーツだ。だからそれに関わっている人の数が多く、そこには何らかの利権が生まれ、それを守ろうとする人たちがいる。日本ではそれが野球ということだろう。彼らは当然、自分の生活を守らなくてならないし、メディアの報道の量には、そのことが表れているようだ。日本のサッカーは競技面で大きく進歩した。これからはそれに合うように日本におけるサッカーの扱いを、もっと大きくする努力をしていかなければいけない」
価値向上に欠かせない日本代表の強化
ミシャはサッカーの魅力を伝えることに人生を懸けている指導者だ。一心不乱に自分の仕事に情熱を注いでいる。「もっと大きくする努力を」という言葉は、サッカーを報じることを仕事にしている者には何とも耳の痛い指摘だった。
「短期的には日本代表チームの成功が国内においてサッカーの価値をさらに高めることにつながる。その点で現在の日本代表の躍進はとても大きな意味を持つ」
現在、代表チームを率いるのは2007年9月から2009年までサンフレッチェ広島においてミシャ監督のもとでコーチを務めた森保一監督だ。その成功を心から喜び、そしてより大きな役割を担い得ると、ミシャは期待を寄せた。
