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“降格濃厚”横浜FCの選手は崩れ落ち…「残酷な裏天王山」でJ1残留を決めた勝者・湘南ベルマーレの猛省「毎年同じことを繰り返していたら…」
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byEtsuo Hara/Getty Images
posted2023/11/27 17:01
11月25日のJ1第33節。試合終了のホイッスルと同時に拳を突き上げる湘南ベルマーレのキャプテン・大岩一貴と、崩れ落ちる横浜FCの選手たち
今シーズンの湘南はリーグで4番目に多い55失点を許しているが、彼が出場した11試合は11失点に抑えている。クリーンシートは5試合を数える。試合翌日に30歳を迎えた韓国人CBの加入によって、守備の安定感が高まったのは間違いない。
キム・ミンテと同じように田中も、「残留させるという思いでやってきました」と話す。2022年のシーズン中にヨーロッパへ移籍した経緯を踏まえ、「恩返しをする」との思いを胸に秘めていた。ボール際の力強さを増した21歳は、パリ五輪を目ざすチームへの定着も期待される。
「毎年同じことを繰り返していたらいけない」
29節のC大阪戦から横浜FC戦まで5試合連続負けなしを記録したことで、湘南はJ1残留をつかみ取った。ただ、実は昨年もシーズン終盤に勝点を積み上げている。ラスト10試合で4勝4分2敗の成績を残したことで、混戦から抜け出して12位でフィニッシュしたのだった。
22年シーズン途中から在籍する阿部は、横浜FC戦後に「ホッとしましたね」と素直な胸中を吐露しつつ、クラブの未来に触れた。チームトップのアシストを記録している34歳は、これまで所属した3クラブでタイトルをつかんでいる。
「毎年同じことを繰り返していたらいけないし、来年はもっとやらなきゃいけない。今回の残留を通過点として、チームとしても個としてもさらにレベルアップしていかないと」
J1残留争いではなく、中位から上位を狙っていくために。FC東京をホームに迎える最終節が、新シーズンへの第一歩となる。
「どういう終わり方をするのか。J1に残留してホッとするのではなくて、ひとつの試合に懸ける思いというのは、この数試合から学んでいることなので、そこは大事にしたいと思います」
横浜FC戦後、山口監督はこう話した。何か大きなものを得るための試合ではないが、だからこそ、ホームでしっかりと勝つ。勝点3を取る。プレッシャーも重圧もかからない試合に、圧倒的なまでの熱量を注ぐ。そうした姿勢を磨いていくことが、これからの湘南には必要なのだろう。