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“降格濃厚”横浜FCの選手は崩れ落ち…「残酷な裏天王山」でJ1残留を決めた勝者・湘南ベルマーレの猛省「毎年同じことを繰り返していたら…」
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byEtsuo Hara/Getty Images
posted2023/11/27 17:01
11月25日のJ1第33節。試合終了のホイッスルと同時に拳を突き上げる湘南ベルマーレのキャプテン・大岩一貴と、崩れ落ちる横浜FCの選手たち
15試合未勝利の“谷底”を味わって…
試合後の山口智監督は、「思い描いた順位ではないですが、残留を決めたことは大きな成果になるので、とにかく勝つことにフォーカスをした試合でした」と話した。同勝点だった柏レイソルを抜き、ガンバ大阪を得失点差で上回り、15位まで順位を上げることができた。とはいえ、5位以内をターゲットとしたシーズンである。指揮官が笑顔を浮かべないのは当然だっただろう。
今シーズンは7節から21節まで、15試合勝ちなしと低迷した。6月下旬からおよそ3カ月間は、最下位が定位置となった。
チーム事情が苦しいなかで、クラブはカタールW杯日本代表のFW町野修斗を夏の移籍市場でドイツへ送り出した。選手のキャリアアップをできる限り尊重するのが、湘南というクラブの基本的なスタンスである。
代わってJ2の清水エスパルスからFWディサロ燦シルヴァーノを、さらにJ3のY.S.C.C.横浜で11得点をマークしていたMF福田翔生を獲得した。ディサロはここまで1ゴール、福田は無得点だが、町野の移籍と彼らの加入を刺激とした大橋が、自身初となる2ケタ得点を叩き出した。29節のセレッソ大阪戦からは4試合連続ゴールを記録し、チームを浮上させる原動力となった。横浜FC戦でも相手CBと激しいバトルを演じ、攻守に存在感を発揮している。今季13ゴールの大橋は、率直な思いを明かした。
「苦しい時期もありましたけれど、何とかみんなで戦って、このクラブがいなければいけないJ1というポジションを確保できたことは、ホントに良かったかなと思います。率直に嬉しかったですし、ホッとしています」
大量失点が続いていた守備陣には、鹿島アントラーズからCBキム・ミンテを期限付き移籍で補強した。中盤にはベルギーのコルトレイクへ期限付き移籍していたMF田中聡が戻ってきた。GKソン・ボムグンと大橋に加え、キム・ミンテが3バックの中央に、田中がアンカーに入ることで、センターラインが一気に引き締まった。
J1の複数クラブでプレーしてきたキム・ミンテは、「最下位だったときから、自分に任せろ、やってやると言っていました。そうやって自分にプレッシャーをかけていたのですが、結果に表わすことができて良かったです」と安堵の表情を浮かべた。