熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「恥辱だ恥辱、恥知らずめ!」ブラジルW杯予選3連敗+サポ流血など不穏な現場ルポ…「36歳メッシと王者アルゼンチン」にあって王国にないもの
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byAP/AFLO
posted2023/11/28 11:04
メッシとカルロス・アウグストのデュエル。なぜブラジルはW杯南米予選で不振に陥っているのか
「故障を繰り返し、欧州に比べてレベルが見劣りするサウジアラビアリーグのクラブへ移籍し、年々、プレーする意欲も薄れている。人間的にも、若手のお手本にはなれない。セレソンにはもういらない」という意見もあれば、「全盛時は過ぎたのは確かだが、ブラジル人選手の中では依然として最高のアタッカー」と評価する声もある。
筆者の考えは「今後は、ネイマール抜きでチームを作って2026年W杯を目指すべき」というものだ。プレー内容の低下もさることながら、彼の自分勝手なプレーと振る舞いが若手選手にとって障害になっていると感じるからだ。
2019年コパ・アメリカは彼が故障で欠場したが、若手選手が奮起して優勝。しかし、2021年のコパ・アメリカではネイマールが万全の状態でありながら、決勝でアルゼンチンに敗れた。これは決して偶然ではない、と考えている。
「ネイマールはいらない」とビニシウスがならないと…
ただし、ビニシウスの欠場は痛い。傑出したスピードとテクニックの持ち主で、課題だった決定力も急速に高まった。ただし、これまでのところ、クラブで見せるような創造性溢れるプレーがセレソンでは見せられていない。
本来なら、彼がすでにセレソンの金看板になっていて、「ネイマールはもういらない」と思わせなければならない男だと思うのだが――。
メッシは36歳だが昨年、W杯で悲願の優勝を遂げて、選手としても人間としてもさらに上の段階に到達した。
今後は、いつまでこの心身の状態を維持できるか。2026年W杯の期間中に、39歳の誕生日を迎える。ブラジル戦における精神面の充実ぶりを見る限り、まだまだ代表でプレーしそうだ。そもそも、アルゼンチン国民が2026年W杯以前の代表引退など許さないだろう。
万全の体調ではなかったとはいえ、世界一の名手にして頼れるチームリーダーでもある男がいるチームといないチームの差が如実に表われた試合だった。