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降格候補ジローナが首位を快走。シティグループの次なる野望とは。
posted2023/11/29 09:00
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph by
Getty Images
ジローナのスタジアムの階段を登ると、きしむような金属音が響いた。バックスタンドの一部は仮設のような作りになっていて、収容人数もスペイン1部最少。そんな、ラ・リーガで一番小さなスタジアムのクラブが、いまスペインで一番高いところにいる。11月中旬時点でレアル・マドリーとバルセロナを抑え首位に立つのは、降格の有力候補だったジローナだ。
躍進の背景にはマンチェスターとアブダビというふたつの都市がある。クラブはマンチェスター・Cに代表されるシティ・フットボール・グループに属しており、同グループはジローナの株式の47.9%を保有している。「シティ」ブランドの影響力はスペインでも大きい。世界各地の若手にとってはなおさらだろう。今季5得点4アシストと19歳にしてリーガを席巻するブラジル人FWサビーニョも同グループのトロワからのレンタルだ。2017年に約半数の株を購入し自らもクラブ経営に参画するペップ・グアルディオラの弟、ペレ・グアルディオラは「シティというブランドは世界のタレントを引き付けてくれる」と強みを語る。