プロ野球PRESSBACK NUMBER
ロッテ・藤岡裕大が明かす「幕張の奇跡」の裏側…初めて腹をくくった“長打狙い”「ゾーンってこんな感じかも、って」…大歓声に誓った“ある決意”
posted2023/11/10 11:00
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph by
Chiba Lotte Marines
まさにゾーンに入っていた、というのはこういうことなのだろう。藤岡裕大内野手は、それを「人生で一番集中していた」と表現した。
10月16日、ZOZOマリンスタジアムで行われたクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第3戦。引き分け以上でファイナル進出、負ければシーズン終了というゲームは、9回終了まで両軍無得点という緊迫した展開で進んでいった。しかし延長10回表に福岡ソフトバンクホークスが一挙3点を先制。千葉ロッテマリーンズは土俵際まで追い込まれた。しかし、そこから今後も語り継がれることになるであろう伝説のシーンが生まれる。
「伝説」の始まり
その裏の攻撃。先頭の角中勝也と次の荻野貴司が連続ヒット。ベテランコンビで無死一、二塁のチャンスを作り、藤岡が打席に向かった。
「3点取られて正直、ヤバイなあ、厳しいなあという雰囲気はあった。でも角中さんが出塁して荻野さんが繋いでくれて、押せ押せの雰囲気が生まれていた」と藤岡は述懐する。
藤岡は打席に入る前に腹を決めた。ヒットではない。長打を狙う。プロに入って6年。初めて毅然と長打狙いを決めバットを握った。
「ヒットで繋いでも正直、なかなか3点は厳しいと思った。継投も考えられる。ここは腹をくくって長打狙い。自分のバットで最低でも2点はとる。そんな気持ちで打席に入りました」