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なぜ柏木陽介は「調子乗り世代」と呼ばれて怒ったのか? 高校時代から記者にタメ口、赤髪モヒカン槙野智章と名コンビ…“愛された太陽”の素顔 

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安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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photograph byYUTAKA/AFLO SPORT

posted2023/11/09 17:00

なぜ柏木陽介は「調子乗り世代」と呼ばれて怒ったのか? 高校時代から記者にタメ口、赤髪モヒカン槙野智章と名コンビ…“愛された太陽”の素顔<Number Web> photograph by YUTAKA/AFLO SPORT

盟友・槙野智章(右)らとU-20W杯に出場した当時20歳の柏木陽介(2007年)。来月で36歳、今シーズン限りでの現役引退を発表した

 日本代表に初めて選出された2009年オフ、柏木はプロサッカー選手として育て上げてくれた広島を離れ、浦和レッズに移籍を決断した。Jリーグ、ACLといったタイトル獲得に貢献し、熱狂的なサポーターから『浦和の太陽』と愛される中心選手に成長した。

 規律違反によって2020年に浦和を退団することになったが、新天地に選んだJ3・FC岐阜では、若手選手の意見に耳を傾け、先輩としてアドバイスを送る姿が印象的だった。怪我もあり満足いくプレーはできなかったが、チームとして思うような成績が残せない時も前に出てサポーターと話をするなどキャプテンとして奮闘した。一緒に同じ時間を過ごした選手たちにとってプラスに働いたことはいうまでもない。

 負傷のためスタンドから仲間たちの戦いを見ていた柏木は、こんなことを言っていた。

「もちろん試合に出たいし、力を発揮して結果を出したい気持ちは強いよ。でもね、こういう状況も自分の人生だし、ここで暗くなっていても仕方がないでしょ。自分が落ち込んだり、マイナスの雰囲気を出したりするのはチームにとってプラスにならない。俺はいつも通りに楽しんでやるよ」

 苦しい時期でも前を向く。天真爛漫でありながら、周りの気遣いも忘れない柏木を、もうピッチで見られないと思うと少し寂しい。ただ、スパイクを脱いでも太陽は太陽のまま。セカンドキャリアも楽しみだ。

 一足お先にスパイクを脱いだ同期を見れば、内田や槙野のように解説者として活躍する者もいれば、青山隼のように俳優に転身した者もいる。数少ない現役選手となった田中亜土夢はフィンランドでの生活を満喫している。それぞれがそれぞれの人生を歩き出している中、柏木はどのような道を選ぶのか。いずれにせよ、今の柏木はきっと最終戦までの残り少ない現役生活に標準を合わせているだろう。

 オカンのように強くなりたいと誓った少年は、兄妹を照らしてくれた母のように逞しく成長し、多くの人を魅了した。きらりと輝くレフティーのラストダンスを目に焼き付けたい。

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