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“紙一重のJ1残留力”湘南ベルマーレは降格を回避できるのか?「きれいじゃなくても…」15戦未勝利の苦しみを味わった選手たちのリアルな声
posted2023/11/10 17:02
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Etsuo Hara/Getty Images
6年で、終わらせるわけにはいかない。
J1残留争いを賭けたシビアなサバイバルに、湘南ベルマーレが挑んでいる。
今シーズンのJ1は最下位(18位)のみがJ2へ降格することになっており、残り3試合の時点で湘南は勝点28の17位だ。16位の柏レイソルとは勝点2差で、18位の横浜FCとも同じ勝点2差である。勝点34で14位のガンバ大阪までの5チームが、数字の上ではJ1残留争いの当事者だ。
紙一重で残留を果たしてきた直近5年
湘南がJ1残留を争うのは、今シーズンが初めてではない。
4度目のJ1昇格となった2018年は、最終節を前に16位以上を確定させ、J2への自動降格を免れた。ただ、J2チームとのJ1参入プレーオフを回避したのは最終節だった。最終的に13位でフィニッシュしているが、勝点はプレーオフに出場した16位のジュビロ磐田と同じ「41」だった。
19年は得失点差で16位となり、J1参入プレーオフを経て残留した。12年からチームを指揮した曺貴裁監督がシーズン途中でチームを離れ、アカデミーに関わっていた浮嶋敏監督のもとでリスタートを切ったシーズンでもあった。
新型コロナウイルス感染症に襲われた20年は、J1からJ2への降格がない特例ルールが適用された。おりしも湘南は、攻守におけるハードワーク、90分足を止めない走力、さらにはプレー強度を土台とするサッカーをバージョンアップしようとしていた。J1の上位クラブも走力に着目してきた状況を踏まえ、「いつ走るのか、どこに走るのか」といった走力の質を向上させていたのである。
並行して、ボールを動かすクオリティも追求していった。攻撃パターンとしてきたハイプレスからのショートカウンターに加えて、しっかりとボールを動かしながら崩すことを求めた。
それはつまり、J1残留を目標とするチームからの脱却を意味していた。J1に定着しながらタイトル争いを目指すクラブへ変わるために、サッカーをバージョンアップさせていったのだ。
その起点となった20年は、浮嶋監督のもとで本格的に戦う初めてのシーズンでもあった。サッカーを変化させるだけでなく、長期政権後の難しさにも直面した湘南は、18位に沈む。特例ルールでJ1に踏みとどまることとなった。
21年のJ1はJ2からの昇格2チームを加え、20チームで争われた。下位4チームがJ2へ降格する。J1残留のハードルは、いつも以上に高い。