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「このままじゃヤバい…」プロの壁にぶつかった元U-17W杯のエース西川潤21歳、意識が変わった“屈辱のSB”とオランダ戦「あそこで僕は…」
posted2023/11/09 11:07
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Naoki Morita/AFLO
2023年6月14日、オーストリアのウィーンで行われたU-21オランダ代表戦を終えたあと、西川潤を支配していたのは失望だった。
「試合が終わったときは泣きそうでした。何もかもうまくいかなくて……」
その前年、22年11月のスペイン・ポルトガル遠征でパリ五輪を目指すU-21日本代表に初選出されて以降、23年3月のドイツ戦、ベルギー戦、6月のイングランド戦、オランダ戦と、コンスタントに呼ばれるようになっていた。
19年10月のU-17ワールドカップを最後に代表チームと縁遠くなった西川にとっては、大きな前進と言える。
とはいえ、出番はいずれも試合途中からで、スタメンのチャンスは得られない。6月シリーズでもイングランドとの第1戦は82分からの出場にとどまっていた。
終盤の途中出場、わずか6分後の負傷交代
第2戦の相手となるオランダは、4年前のU-17ワールドカップ初戦で対戦した相手である。当時は西川のゴールもあって3-0で勝利したものの、内容を見れば、オランダに支配されたゲームだった。
オランダ代表には当時のメンバー数人が選出されており、自身の成長を測る格好の相手でもあった。
次こそはスタメンで――。
そう意気込んでいたもののベンチスタートとなり、ようやく声がかかったのは再び82分。そして、ピッチに足を踏み入れて6分後に相手選手と接触し、負傷交代を余儀なくされてしまうのである。
「代表に呼ばれるようになったけど、スタメンで使ってもらえない。与えられた時間は数分だけど、そこで頑張るしかない。そう気持ちを作ってピッチに入ったら、すぐにケガをしてしまって……。本当にうまくいかないなって。悔しかったですね」
本当にこのままじゃヤバいなって
試合直後は失望が渦巻いていたが、心境に変化が訪れるのは入院中のことだ。
「本当にこのままじゃヤバいなって、改めて思ったんです。自分の中ではもっとできるっていう思いがあるけれど、それをプレーで表現できてないという現状がある。下を向いている場合じゃないな、まだシーズンは残っているから、そこに向けて頑張ろうって」