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バルサを苦しめた久保建英にチャビ監督「素晴らしい」、だが結末は悲劇…撮影前「タケが2点取って勝つ」地元バル店長の愛に沁みる重責
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2023/11/08 17:54
ガビのチェックを前に果敢な姿勢を見せる久保建英。バルサ相手にも存在感を見せたが
開始より1分を待たず、ボールは右サイドの久保からアイエンを経由し、逆サイドのバレネチェアの元へ。右足で放たれたシュートは間一髪、バルサGKテアシュテーゲンによって弾き出された。直後にも、相手守備陣のミスを見逃さず10番オヤルサバルがシュートに持ち込むと、会場は一気に盛り上がりを見せた。
ここで得たCKのキッカーは久保。
手をクロスさせる仕草から放物線を描いたボールを、ミケル・メリーノが頭で合わせてバルサ守備陣を慌てさせた。
久保とソシエダの健闘にバルサ守護神が苛立つほど
また自陣深くでパスを受ける際には、あえてボールコントロールの間を遅らせることで、迫り来るガビを喰らいつかせると、一気に加速し置き去りにした。久保自身も、バレネチェアのクロスに飛び込みシュートを放ち、またカットインからシュートを狙った。
守備時にもソシエダは、バルサに対し積極的に前プレスを敢行。久保、オヤルサバルがパスコースを限定していくと、中盤ではバルサの乱れたパスをスビメンディが刈り取り、鋭いカウンターに繋げた。さらに今季、ソシエダのライバルであるビルバオからバルサに加入したイニゴ・マルティネスがボールを持つたびに、スタジアム全体が大きなブーイングを浴びせ続けた。
ただそこは流石のバルサ。徐々にソシエダの圧に対応して前進を試みる様になっていった。とはいえ、テアシュテーゲンがここまでパスをミスして苛立ちを見せる姿は撮影したことがないほど、ソシエダの攻守における健闘が光った。
攻撃的カードを切れるバルサ、一方のソシエダは…
しかし、ソシエダは得点を決め切れずにいた。両チーム無得点のまま迎えた後半、バルサ指揮官チャビは57分、2枚同時替えでフェラン・トーレスと怪我から復帰のペドリ、69分にも16歳のラミネ・ヤマル、ブラジル代表でもあるラフィーニャと、次々と攻撃的なカードを切っていく。
前節、ホームでのクラシコを終了間際、ベリンガムのゴールで落としたバルサは是が非でも勝ちたい、その気持ちを前面に押し出した。対するソシエダ指揮官は、63分に負傷したサイドバックのトラオレを交代させたものの、積極的な交代策には打って出ることができなかった。