――サンフレッチェにとってようやく掴んだカップ戦のタイトルで、青山選手も天皇杯やナビスコカップの決勝で何度も悔しい思いを味わってきた。去年のタイトルは自分にとって、クラブにとって、どんな価値や意味がある？

青山　15年のリーグ優勝を最後にタイトルが獲れなくなって、だんだん下がってきたところで、もう1回上がっていくきっかけになるタイトルだと思うし、その過程をみんなが見てきたわけではなく、自分やリーグ優勝時のメンバーにとっては、なんとかつないで、つないで、それがルヴァンカップのタイトルにつながったと思っています。でも、これがゴールじゃなくて、僕はこれが始まりだと思ってて。もう1回上にいけるチームになってきたんじゃないかなって。そのためにはさらにタイトルを獲っていかなきゃいけないし、常に優勝争いに絡むチームになっていかないといけない。まだ、そこまでの安定感はないから、本当の強さではないんだろうなって思いますけど、ここからがスタートなんで。再びタイトルを獲得していけるチームになる。そこに自分がどう関わっていくか。優勝争いをするチームに値する選手に、もう1回なりたいなって思っています。

©︎Atsushi Iio

10番・森島司への“後悔”とは？

――話は変わりますが、この夏に10番を背負っていた森島司選手が名古屋グランパスに移籍したじゃないですか。青山選手は慰留したんですか？

青山　僕から何かを言うことはなかったですね。慰留も何も、勝手に行かないものだと思ってたんで。モリシに移籍の可能性があるってことは報道で知って、飛ばし……って言うとおかしいな、オファーは来てるんだろうけど、行かないものだと思っていたから、モリシには特に言葉をかけなかった。そういう意味では、正直、後悔というか。

――もっと、しっかり話をしておけばよかった、と。

名古屋に移籍した森島司（右）への想いを明かした青山敏弘（写真は2022年ルヴァンカップ）©︎J.LAEGUE

青山　最後にモリシから報告を受けたとき、俺、なんでもっと言わなかったんだろうっていう後悔がね、やっぱり。モリシはこの先もずっとサンフレッチェを背負っていってくれるもの、ずっと一緒に歩んでいってくれるものだと勝手に思っていたから。モリシが中心のチームでタイトルを掴んで、さあ、ここからだっていうときに、気づいたらいなくなってしまった。自分の勝手な思いと現実とのギャップに、何かこう、心にぽっかりと穴が空いたような。ただ、モリシにはモリシの考えや思いがあるわけで、尊重しないといけない。それより今思うのは、何が足りなかったんだろうなっていうこと。

――このクラブ、このチームに？

青山　そう。それだけの選手がいなくなるっていう現実に目を向ける必要があると思うし、見つめ直すチャンスなのかなって思いますね。

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