甲子園の風BACK NUMBER
“育成の星”《オリックス・東晃平》恩師が語る「超マイペース高校時代」スカウトが見守る中で「普通は思い切って直球を投げる。でもアイツは…」
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph byJIJI PRESS
posted2023/10/20 17:00
育成出身ながら今季は負けナシの6勝を挙げ、オリックスのリーグ制覇にも貢献した東晃平。初のCSではどんな投球を見せるか
トレーニングや体づくり…”野球人”の会話ができるように
「こちらが途中で東を車で拾って淡路島まで移動したんですけれど、車の中での会話もほぼ野球。アイツの口からトレーニングだとか体作りとか、色んな話が出てくるんです。今まではこんなことはなかった。野球人としての会話ができるようになりました」
22年7月にようやく支配下登録となり、一軍での登板も果たした。そして今年3月にはWBCの壮行試合でオリックスの先発投手としてマウンドに立つも2回7失点で降板。だが、岡本監督は「大谷翔平選手に打たれた球に関してもそうですが、『インコースに投げ切れなかったです』とか自己分析がちゃんとできていました。打たれてもああいう経験ができたのは大きいでしょう」と頷く。
昨年の7月30日から数えて、先発では10戦負けなし。今季は先発ローテの一角を担い、6勝無敗とオリックスのリーグ3連覇に貢献した。そんな教え子を多少いじりながら、岡本監督は熱いエールを送る。
「ヒーローインタビューを見ていたら、もうちょい愛想良くせえよとは思いますけれどね(笑)。もともと勝負ごとで喜怒哀楽を出す子ではなかったけれど、ポーカーフェイスというのか、一喜一憂しないというのか。いい意味でマイペースだったので、それはそれでアイツらしいです。
今まで腰もヒジもやって(ケガして)いるので、とにかく焦らずにやっていってもらいたいです。育成の時からケガすんなよ、焦んなよとはよく言ってきたのですが、あれぐらいの選手はケガをすると終わり。特に育成から上がってきた選手は、どうしても焦りがちになると聞くんです。今年は夏から上がってきてここまで来たので、来年は春から1年間ローテーションを守れるようになって欲しいです。あの空間で、ずっと投げていてもらえたら。その前にクライマックスシリーズ、そして……日本シリーズでもどんなピッチングをするのか、今からすごく楽しみです」