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吉田正尚がメジャー移籍、山本由伸の“WBC疲労”考慮も山﨑颯一郎らがカバーしてオリ独走V3…中嶋監督「常に先を見た選手起用」のたまもの
posted2023/09/26 11:06
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
JIJI PRESS
大盛り上がりした阪神タイガースに比べ、オリックス・バファローズは、落ち着いた雰囲気の中で優勝の歓喜を迎えた。リーグ3連覇、そして2位を10ゲーム以上引き離したのだから、無理もない。今季の投打の振り返りをしておこう。
吉田を中心にした打線からどう変わったか
まずは打線から。昨年と今年の代表的なオーダーと成績を比較する。*は左打、+は両打、RCは打撃の総合指標であるRuns Create。
〈2022年〉
1(中)福田周平*118試448打120安0本24点9盗 率.268 RC47.45
2(三)宗佑磨*130試469打127安5本43点4盗 率.271 RC57.74
3(左)中川圭太110試424打120安8本51点11盗 率.283 RC63.06
4(指)吉田正尚*119試412打138安21本88点4盗 率.335 RC102.56
5(右)杉本裕太郎105試379打89安15本51点4盗 率.235 RC48.17
6(一)頓宮裕真81試234打53安11本34点0盗 率.226 RC32.56
7(二)安達了一65試206打54安1本18点3盗 率.262 RC25.83
8(遊)紅林弘太郎130試450打101安6本32点2盗 率.224 RC35.55
9(捕)伏見寅威76試205打47安3本21点2盗 率.229 RC17.84
昨年のオリックス打線は、1番福田から4番吉田までがほぼ固定されていた。つなぐ1番打者の福田、出塁率の高い宗、足が速いクラッチヒッターの中川と来て、絶対的な中軸打者だった吉田正尚が座る上位打線は、安定感があった。ただ昨年の吉田は故障やコロナで24試合欠場したから、その間はやりくりに苦労した。
2021年本塁打王になった杉本は前半戦、大スランプに陥った。このときは頓宮や紅林がカバーした。起伏はあったが、吉田を中心にした整然とした山脈のような打線だった。
〈2023年〉※9月25日現在
1(右)茶野篤政*91試312打74安1本23点7盗 率.237 RC24.92
2(三)宗佑磨*116試409打98安2本20点1盗 率.240 RC36.08
3(中)中川圭太127試476打129安12本52点5盗 率.271 RC67.37
4(指)森友哉*99試352打103安17本62点3盗 率.293 RC66.52
5(一)頓宮裕真113試401打123安16本49点0盗 率.307 RC70.82
6(左)杉本裕太郎88試309打73安14本37点0盗 率.236 RC38.64
7(二)ゴンザレス+76試270打58安11本32点2盗 率.215 RC26.74
8(遊)紅林弘太郎117試404打108安8本35点1盗 率.267 RC42.50
9(捕)若月健矢88試264打70安4本15点2盗 率.265 RC23.40
便宜上、出場試合数の多い選手を振り分ければこうなるが、今年のオリックスは120通りを超える打線を組んだ。このオーダーにはそれほど意味がない。