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大谷ロスを痛感した社会人「どれほど救われたか…」そこで訪ねた大谷翔平の小学校“まるでポツンと一軒家”だった話「この静けさが怪物を生む?」
text by
YukoYuko
photograph byYuko
posted2023/10/14 11:00
岩手県南部の平泉にある「高館義経堂」からの眺望
平泉一帯は現在、世界文化遺産に指定されており、連休ということもあってたくさんの人でごった返していた。私たちは比較的静かな「高館義経堂」を訪れた。
雄大な北上川を一望できるこの場所は、松尾芭蕉がかの有名な句を読んだとされる地だ。
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帰りに社務所で「義経勝守」を買った。「困難を乗り越え、勝負に己に勝ちますように」と書いてある。気のせいか、義経はオオタニさんに似ていた。
小学校へ…「完全にポツンと一軒家じゃないか!」
平泉をあとにし、故郷の水沢に向かった。車で20分ほどで着く。小学校と中学校を見に行きましょう、ということになった。まず中学校。休日なのでひと気はなくがらんとしている。ここがオオタニさんの母校であるという形跡は、まったくなかった。ある意味すごいと思った。つづいて小学校へ。驚くべきことに、田んぼのど真ん中にある。
「水沢のなかでも、そこまで田舎じゃないほうですよ」と水沢女子。
ほんと? 完全にポツンと一軒家じゃないかこれ。
でも、少年時代の原風景がここであるとすれば、それは大谷選手の強みかと思う。電灯もまばらな暗闇と、遠くで聞こえる自動車の音。少年時代は今よりもっと眠ることを徹底できていたのではないか。睡眠は成長ホルモンの分泌を促す。その結果、今につながる高身長を生んだ――。
思えば、菊池選手も今季、左僧帽筋の違和感から緊急降板したことがあった。試合後にその理由について「11時間くらいしか寝れなかったこと」を一因に挙げ、現地メディアを驚かせたという報道を目にした。
少々強引な仮説かもしれないが、東北に「怪物」が誕生しやすい背景には、闇と静けさがあるのかもしれないなあ。
そして、もし今後チームを移籍するとしても、この原風景をもつ大谷選手なら、テキサスだろうとアリゾナだろうとロッキー山脈だろうと、どこへ行っても違和感はない。そう確信した!
〈つづく〉