2003年、小宮山はセントラルリーグでプレーし、シーズン終了後にFAとなったので私は彼を秘蔵っ子として取り戻すため契約した。洗練された選手であり、チームを安定させる影響力も持っていた。また、韓国人の李承燁（イ・スンヨプ）とも契約した。彼はとても良い選手だったが、日本の投手にアジャストする必要があった。

1995年の主力選手がベテランになっていた

　シーズン開幕時、私は今江敏晃をはじめ、二軍から4人の選手を昇格させた。若い選手が上がってきてポジションを脅かされたときのベテラン選手は、扱うのが難しくなる。今江は三塁手で、サードを守っていた初芝清は私が1995年に監督をしたときは基本的にチームのキャプテン的存在だった。彼は今やベテランとなり、鍛練を積み技術も身につけていたが、守備のスキルは衰え始めていた。突然誰かに取って代わられることは受け入れ難かったので、私は今江を徐々に起用していった。

主力選手だった小坂誠　©Hideki Sugiyama

　同じことが、華麗な守備を見せるリードオフマン、ショートの小坂誠にも起きていた。私は若手の西岡剛を正遊撃手にすることを視野に入れていたが、当初しばらくは少々やりづらさはあったものの、我々は集団として機能し、選手たちは私を信頼してくれた。良いチームワークと良いチームプレーという最高の結果が生まれた。

Mスプラッシュ結成

　秋季キャンプに到着したとき、マーケティングのポジションに空きが出ていたので、スポーツライターのラリー・ロッカを呼んでそのポジションにつかせた。ラリーはユーモアのあるジャーナリスト、モー・ロッカの弟で、『ニューズデー』紙や『ニューアーク・スターレッジャー』紙で仕事をした経験があった。私はチームから、これまでと違う方法でマーケティングを行い、アメリカのスタイルを導入したいと言われていた。私はラリーに仕事を紹介し、彼は熱心に取り組んだ。仕事に全力を注いだ彼は、ハートフォード社[訳注:アメリカの保険会社]や他の多くの多国籍企業にスポンサー契約を売り込んだ。

　またチームのマスコットのひとつにもなり、セブンス・イニング・ストレッチではグラウンドに飛び出し、ファンと徒競走を行った。ラリーはチアリーダーグループ「Mスプラッシュ」の総括にも一役買った。MはマリーンズのM、スプラッシュは、スタジアムが海岸に建っていたことから付けられた。

ボビーが2次政権で意識した「折り合い」

　私は、今日では多くのメジャーリーグチームが導入している解析システムを、ロッテに導入した。まず、データスタジアムというデータ収集企業と契約を交わした。我々はすべての投球をプログラムに取り込む方法を考案し、どの球速の投球がいつ、どこに投げられるのかをコンピューターが表示した。また、どこに投げられたボールが打たれたか、バットから飛び出した打球の速さはどの程度か、飛距離はどのくらいだったか、どの方向に飛んだかを表示するプログラムも考案した。 

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