今の練習の様子を見学すると、チームは和気あいあいとして良い雰囲気だ。誰が上級生で下級生なのか、パッと見ではわからないほどで、練習中も笑顔が見られる。終盤、寺田監督が「今からアイスチャレンジな。1500mで全員が1km3分を切ったら、箱一杯にアイスを買ってやるよ」と呼びかけると、陸上トラックに明るい歓声が広がった。

©Tadashi Hosoda

　中には全国規模の大会に出ても見劣りしないであろうきれいなフォームで走る選手もいるが、ここにはどんな選手が集まっているのだろう。

「地域で言えば、地元の三重、愛知、なぜか僕の故郷の長崎も多くて、一番東で静岡かな。関西の子もいます。みんな多分、最初は関東（の大学）を目指していたんですよ。でも、力及ばずでこっちに来て。それでも陸上を続けたいって子たちなので、すごく純粋ですね。逆に僕が止めないとひたすら走っている子もいるので、ある意味、嬉しい悲鳴を上げています」

箱根駅伝出場を提案すると…

　全日本大学駅伝のチームでの出場は逃したが、その代わりに、寺田さんは部員たちにある提案をした。次回の箱根駅伝は第100回大会であることを記念して、地方の大学も予選会に参加することが可能だ。この予選会に出場して、自分たちの力を試そうと呼びかけたのだ。

「最初は思ったよりも反応が薄くて、あまり箱根駅伝には興味がない様子でした。でも、この年に学生でなければ出られないですし、関東の強豪校と一緒に走れるまたとない機会なので。しかも今回は予選会からテレビ放送もありますし、本人たちが走っている姿を親御さんたちが見たら、やっぱり嬉しいと思うんです。強い子との差を肌で感じて、良い経験にしてもらいたいです」

©Tadashi Hosoda

出雲駅伝で師弟対決

　第100回箱根駅伝予選会は10月14日に立川で行われる予定だが、直前の同じ週には学生三大駅伝の一つである出雲駅伝が開催される。皇學館大はその出場権を得ており、前回2位に入った國學院大との、いきなりの師弟対決が注目を集めそうだ。

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