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31歳で監督に電撃転身…“寺田交差点”寺田夏生は、三重の皇學館大学から箱根駅伝を目指す「関東の強豪校と一緒に走れる、またとない機会」

posted2023/10/09 06:02

 
31歳で監督に電撃転身…“寺田交差点”寺田夏生は、三重の皇學館大学から箱根駅伝を目指す「関東の強豪校と一緒に走れる、またとない機会」<Number Web> photograph by Tadashi Hosoda

現在32歳の寺田夏生、選手たち先頭で引っ張り走るなど練習を先導している。その姿は現役さながらだが、指導について取材をすると…

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小堀隆司

小堀隆司Takashi Kohori

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Tadashi Hosoda

 今年7月、皇學館大駅伝競走部の監督に就任した寺田夏生さん。國學院大時代には箱根駅伝10区のゴール直前にコース取りを誤り、その場所が「寺田交差点」として有名になった個性派ランナーは31歳でJR東日本を退職し、指導者の道を選んだ。新監督としての日々について、就任当初から話を聞いた。(Number Webインタビュー全2回の第2回/前編は#1へ)

ゼロからのスタート

 新監督に課せられた使命も、まずは喫緊の課題に対応することだった。

「最初に言われたのは、なるべく早くチームを立て直してほしいと。次に駅伝の復帰で、チームの過去最高順位(17位)の更新が目標です。やはり全日本大学駅伝は大学のお膝元なので、そこにかける思いは強いですね」

 皇學館大の駅伝競走部は中部地方を代表する強豪の一つだが、寺田さんが就任する直前に行われた全日本大学駅伝の東海地区選考会で2位となり、7年ぶりに本戦出場を逃していた。

初日、選手たちに伝えたこと

 本来であれば、監督引き継ぎの際にチーム事情などについての申し送りがあるものだが、今回はそれもない。まさにゼロからのスタートで、寺田さんは学生たちが待つグラウンドに立った。

 女子選手4名を含むおよそ50名の部員を前に、寺田さんが練習初日に伝えたのはこんな言葉だったという。

「まずは練習や試合で結果を残した子が報われるチームにしたいと。それから、チャンスはみんな平等に与えるからと言いました。あとはチームの方針ですね。やはり親御さんも大金を払って大学に通わせていますし、学業をおろそかにしてほしくない。自分も子どもができて、親の気持ちがわかってきたので、これは当たり前じゃないからねっていうのは伝えました。それと、駅伝競走部は大学の強化指定クラブに入っていて、特別に予算もつけていただいているんです。そういうプライドと、感謝の気持ちも忘れないようにと言いました」

選手とのやりとり、チームの雰囲気は?

 話すのは得意じゃないという監督が、事前に準備したメモ用紙を片手に、選手一人ひとりに届くよう切々と説いた。きっと、学生の胸にも迫るものがあっただろう。

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