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「課題は明白だが…」根尾昂が与えられた先発2試合の“正直な採点”は? 中日球団が描く未来図と立ちはだかる「10敗カルテット」+5人の男
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph byJIJI PRESS
posted2023/10/03 11:00
先発初勝利はならなかったが好投を見せた中日・根尾
さらには左肘の手術でシーズンのほとんどを棒に振った大野雄大が、9月に二軍で実戦復帰。もちろん来シーズンの開幕には万全の状態で臨める。また、昨年トミー・ジョン手術を受けた梅津晃大がスケールアップした姿で復帰。3試合、防御率0.95は来シーズンへの期待を膨らませるには十分なインパクトだった。ここに今年のドラフト1位ルーキーの仲地礼亜、途中加入で3勝を挙げたウンベルト・メヒア、そして5回までまとめさせれば球界屈指とも言える松葉貴大が控えている。
6つの椅子を巡って10人が…
ここまでで先発候補の顔ぶれは実に9人。根尾を含めれば10人で6つのイスを争うことになる。根尾のここまでの実績と投球を考えれば、勝ち取るのはそう簡単なことではないだろう。しかし、根尾には故障しないフィジカルの強さと、大舞台を知っているマウンド度胸がある。足りないのは実戦経験と、その蓄積で得られる投球術だろう。そのため、球団ではシーズンオフには教育リーグなどで経験値を上げさせる方針だ。
ストレートとフォークのコンビネーションに、頼れる球種がもうひとつ増えてくればおもしろい。ちなみに元野手としての打力を二軍で披露することはなかったが、一軍では5打数1安打。「打たなければ」という重圧から解放されて、のびのびと思い切りよくスイングしているように見えた。二刀流とはいわないが、セ・リーグの「打てる投手」として、マウンドと打席で躍動する姿を、ファンは楽しみにしていることだろう。