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「課題は明白だが…」根尾昂が与えられた先発2試合の“正直な採点”は? 中日球団が描く未来図と立ちはだかる「10敗カルテット」+5人の男
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph byJIJI PRESS
posted2023/10/03 11:00
先発初勝利はならなかったが好投を見せた中日・根尾
この2試合で勝ち負けはつかなかったが、12イニング3分の2を9安打、防御率0.71は来シーズンへの期待を持たせる数字ではある。ただし4奪三振に対して8四球。K/BB(投手の制球力を示す指標)は0.50と制球力の不安をのぞかせている。また右打者は13打数無安打(2四球)と抑え込んだ一方で、左打者には30打数9安打(6四球)と明らかに投げづらそうだった。
二軍では0勝7敗…課題は明白だが
希望と課題が混在する現状は、二軍成績からもうかがえる。23試合に登板し、0勝7敗、防御率3.43。あるいは他の投手なら一軍への推薦がなかった可能性もある。詳細は76イニングを55安打、64奪三振、45四球。K/BBも1.42と一軍と同じく制球力不足が感じられる数字である。
つまり球威はあり、ストライクさえ入れば、そう打たれることはないが、四球から自滅する危険は常にはらんでいる。5年目とはいえ、まだ先発投手としての経験値は低く、課題があるのは当たり前だが、来シーズンに向けて根尾の置かれた立場はそう楽観できるものではない。
今シーズンの中日先発陣は、実に球団50年ぶりとなる「10敗カルテット」が誕生した。小笠原慎之介7勝11敗、柳裕也4勝11敗、涌井秀章5勝13敗、高橋宏斗7勝11敗である。ただし、柳は2.44、高橋も2.53と防御率を見ればとても負け越すような数字ではない。柳が9イニングを無安打無失点に抑えながら、勝ち投手になれなかったように、打線の援護力のなさが大きく影響している。涌井にしても熟練の投球術があり、小笠原には球威とチェンジアップという一級品の決め球がある。