「コンビネーションスピン（I字）は、大きな音が続いて盛り上がる場面で、その音に合わせて回ることが今回は出来たと思います」

　驚異的なポジションをとっただけでなく、その回転を音楽に合わせることで、演技を盛り上げていったというのだから、驚かされる。島田が目指しているものは、単にノーミスの演技ではなく、技のクオリティや音楽性の領域にまで達しているということ。果てしない伸びしろとエネルギーを感じさせる一戦だった。

今季世界最高の213.86点をマークして圧巻の完全優勝　©︎Asami Enomoto

日本女子ジュニア層の厚さを示した大会

　一方、2位に入った高木謠（15）も好演技で会場を沸かせた。高木は今季、ジュニアGPシリーズ初参戦ながら、この日本大会で188.15点の自己ベストで銀メダルを獲得。スピード感ある滑りとバネ感のあるジャンプが魅力だ。フリーでは、冒頭の「3回転ルッツ＋3回転トウループ」が「3＋2」になったものの、そのあと気持ちを切り替え、転倒なく滑りぬいた。

2位に入った高木謠（15歳）のフリー　©︎Asami Enomoto

「目標にしているのは樋口新葉さんと坂本花織さん。ダイナミックで、見ていてすごく楽しい選手なので、2人のようになれるように頑張ります。今日は、最後まで諦めずに頑張ろうと思って滑りました。収穫も反省点も見つかった試合。演技後すぐに、（中井）亜美ちゃんや（渡辺）倫果ちゃんなどチームの仲間から『おめでとう』って連絡がきました！　日本の国旗がたくさんある風景を見て、この大会に出て幸せを感じました」

　櫛田育良（15）は、176.09点で惜しくも4位。今回のフリーではミスがあったが、演技の華やかさが魅力の選手だ。

「日本大会で、ファンの前で滑る楽しさを感じることができました。たくさん課題も見つかったので、この楽しさを忘れないで、次の大会に向けて頑張りたいです」と気持ちを切り替えていた。

　ジュニアGPシリーズは第7戦まで行われ、上位6名が12月に北京で開催されるジュニアGPファイナルに進出できる。島田、高木、櫛田ともにファイナルへの可能性を残す好順位。日本女子ジュニアの層の厚さを示し、日本大会を締めくくった。

ジュニアGPシリーズ大阪大会で表彰台を独占した日本勢。（左から）高木謠、島田麻央、櫛田育良　©︎Asami Enomoto